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Norrathに魂を引かれた者たちに捧ぐ

08-03-26
23:01

小西
小西

 「アスキーが『EverQuest』の全小説の翻訳と日本での刊行の権利を取得」というニュースが(ひっそりと)流れて早3年。ついにというかようやくというか、その第1弾が4月25日に発売されることになりました!

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 かつてNorrathの地を旅した皆さん、お待たせしました!
(「誰も待ってねーヨ!」とか「もう忘れたヨ!」という突っ込みは勘弁してください……)


 栄えある日本語訳版の第1弾は「エバークエスト 連合帝国(コンバイン・エンパイア)の興亡」(原題は「EverQuest The Ocean of Tears」)。Norrath各地に巨大なWizard Spireの数々を残して滅び去り、後に拡張パック「Shadow of Luclin」にて、衛星Luclinに逃れた残党たちが登場した、あのCombine Empireの時代が描かれます。

 しかも劇中では、まさにCombine Empire崩壊につながる事件が描かれるのですから、現役EQプレイヤー(日本で何人残っているんでしょう……)はもちろん、かつてEQを楽しんだことのあるプレイヤーならば、読まずに済ませられません!
(注:筆者は英語版プレイヤーでしたので、固有名詞は英文で書いています。翻訳版では違和感のない日本語に訳されていますのでご安心を)


 原題にもあるとおり、主な舞台はOcean of Tears(OOT)と、それを挟んだFaydwerTunariaの両大陸。Norrathの地理に詳しい人なら「ん?」と違和感を感じたかもしれませんが、この時代、QeynosやFreeportのある大陸は「Antonica」ではなく「Tunaria」と呼ばれていましたから、劇中でもその通りに記述されているわけです。


 EQプレイヤーにとってこの小説のうれしいところは、EQの世界観に非常に忠実に描かれているところです。上記のTunariaなんかは序の口で、地名や人名はもちろん、地勢や戦闘、魔法の描写に至るまで、ゲーム内に出てきた要素を小説として、驚くほど見事に無理のない形で表現しています。

 ゲームを元にしたファンタジー小説というのは、特に日本においては枚挙にいとまがありません。しかしそれらにはノベライズに当たり、ゲームでの細かい描写をそぎ落としてしまっているものが多くあります。読み物としての面白さを重視すれば致し方ない面はありますが、ゲームファンにとっては寂しいものです。

 その点この小説は、プレイヤーの視点から見たEQの要素や世界観をいささかも損なうことなく、物語の中で表現しているのだからたいしたものです。


 ネタバレにならない例を挙げますと、物語中で大規模な戦闘に巻き込まれることを予見した主人公は、戦闘の準備として自分に複数のbuff(補助魔法)をかけます。それらはプレイヤーなら戦闘準備として必ずかけるであろう魔法であり、もしプレイヤーが主人公と同じ状況に置かれたならば、同じように行動するだろうというほど「ゲーム内のリアル」を忠実に表現しているのです。

 しかもその魔法のひとつひとつが、直接呪文名は出さないにも関わらず、文中の描写で「ああ、これはあの呪文だな」と分かるくらい真に迫っているものですから、元プレイヤーとしては思わずニヤリとしてしまいます。(仮にもEQの小説で、登場人物が必殺技みたいに呪文の名前を叫んだら興醒めでしょ?)

 それでいて、戦闘描写のテンポを損なわないのですから、作者の力量にはまったく敬服します。特にOOTで繰り広げられる艦隊戦の描写は、迫力ある“剣と魔法の戦い”を描いた興奮するものです。


 劇中にEQ世界の有名人たちが続々登場するのも嬉しいところ。Combine Empire時代末期が舞台ですので、あの人やらあの人はもちろん、某所でRaid Encounterとして登場するある人物の過去にもさりげなく触れられたりします。

 また、いわゆる「EverQuest Classic」(1999年リリースの最初の世界)に慣れ親しんだ人ならば、必ずお目にかかっているだろう有名人(やその先祖)も登場するなど、実にプレイヤーに対するサービス精神旺盛な小説となっています。


 主人公は小説オリジナルの人物ですが、これがまた「完璧超人か!」ってくらい強いヤツでして(笑)。メインはEnchanterなのにNecromancerの呪文も使うわ、剣での戦いも滅法強いわと、チート性能にもほどがあるってくらいです(でも多芸の理由が劇中できちんと説明してあるあたりは、プレイヤーからの突っ込みをきちんと予想してるんですね)。

 これくらい強いやつなら、殺すとさぞかしイイモノ落としそうだよね!
(ちなみに「モデルかな?」というNPCは、ゲーム中に存在します)


 この主人公はダークエルフでありながら、正体を隠して人間やエルフに協力し、権謀術数を巡らせては、数千年に渡り“ある者”に戦いを挑み続けています。“善良なダークエルフ”というのは、今となってはありがちなモチーフですが、この「なぜ彼は戦うのか」の理由もまた、EQ世界の歴史に残る大事件に関わって描かれているので、EQプレイヤーには驚きと感動を呼び起こすでしょう。


 ひとつの長編ファンタジー小説としても面白いですが、EQプレイヤーなら3倍楽しめること請け合いのこの小説。かつて“Norrathに生きた”方々には、ぜひ読んでいただきたいものです。

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トラックバック一覧

  • エバークエストの小説 [ KQZ on authentic ]

     いや、これについては触れないわけにはいかないでしょう。  タイトルはエバークエ......

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