2011年08月
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7月下旬から8月の頭まで香港に出かけたという話を前々回書きました。街に出かけてすぐに気が付いたのがiPhoneのiPadの人気が高いこと。写真は、トラムの駅(バス停留所みたいな感じなんですが)の上の「iPad2」の看板が、2階席から見えたことろ。 |
世界最大のPCメーカーであるHP=ヒューレット・パッカードが、タブレットやスマートフォンの開発を打ち切り、PC部門さえ事業分離などが検討されているというニュースが流れている。かわりに、英国のAutonomyという巨大データ解析を得意とするソフトウェアメーカーを買収するという。
いまではPCメーカーのイメージも強くなったHPだが、実は、業界ではむしろ「PCから遠い」と見られてきた会社である。パソコンやその根幹となるマイクロプロセッサの技術は1970~1980年代にかけて生まれたものだが、その時代に、HPは、エレクトロニクスの盟主といえる企業だった。ところが、パソコンを作らなかった。
同社は、1960年代末に「HP 9100A/B」というプログラミング可能な電卓を作っている。コンピュータというものが机の上にのった、パーソナルコンピューティングに最も近い企業だったといってもよい。ところが、1970年代の後半にIMSAIやAltairが出て、AppleやAtariが出てもこの世界には入ってこなかった。1980年代にPCを作らなかったわけではないが、そのことを知らない人がほとんどだろう。
私にとって、HPは、とても好きなブランドだしその動向も少しは注目してきたつもりだ。同社は、シリコンバレーの発祥となった企業ともいわれるが、その創業のガレージを見にいったこともある。同社が、1978年に発売した「HP-01」という電卓付き腕時計なんて、何個も所有している。
※HP社創業のガレージが左奥に見える(庭の掃除しているのは1996年に撮影当時のこの家のオーナーらしい)。石碑はカリフォルニア州が設置したもの。
仕事でHPのコンピュータを触ったのは、1980年代前半のことだ。HPには、3000や9000といったシリーズがあり、当時は、IBMとの間で、RISC型CPUに関する特許を争っていた。私が使ったマシンでは、米国から流れてきたあるファイルを端末にロードすると、文字だけで本物ソックリのインベーダーゲームが遊べたりしたのを覚えている。つまり、プログラマの遊び心に触れさせてくれたマシンだった。
2007年に、私は、HPがニューヨークで主催した「The Computer is personal again」というキャンペーンのイベントに参加させてもらった。前年から展開されているこのキャンペーンは、「結局、コンピュータというのは個人のためになければいけないんだよ」というニュアンスのもので、とてもすばらしいと思った。私にとっては、コンピュータと個人の関係をちょっと振り返らせてくれた出来事で、《こんな日記》もここで書いている。
ところが、イベントの前日、私の古くからの知り合いでニューヨーク在住のDさんに会うと「えっ、HPってプリンタの会社でしょ?」と言ったのだった。Macユーザーで、Blackberryも知っていて、当時からネットもがんがん使っていた彼女なのだが、HPのことをまるで知らない。私は、HPがいかに凄い会社であるかとか、最高級の聴診器はHP製だったのだよなんて話までしたのだが(ゴムの肌に当てる部分=マウスから2本のホースが直接出ているのがHP製だったのだが医療関連部門はとっくに売却されている)。
実際のところHPが、パソコンの世界でがんがんやり出したのは、それほど古い話ではない。2002年にコンパックを買収して、その後、ゲートウェイの国際部門を担当していたTodd Bradleyがパソコン部門を担当してからだといってもよい。そのたかだか10年くらいの間に、サーバーの会社から個人向けPCの世界にグッと出てきたといえる。
今回のニュースの中では、昨年、Palmを買収するとともにはじめた「WebOS」の事業を打ち切るという内容が含まれているのが1つのポイントとなっている。iOSやAndroid、マイクロソフトまでからんだスマートフォンやタブレットという新市場で、ダークホース的な存在ではあるが、「HPがやるからには」という期待感があった。
HPは、パソコンはあまりやってこなかったが、モバイルではむしろいろいろなアプローチをしてきた会社なのだ。91年に電卓の頂点として「HP 95LX」というスモールコンピュータを発売。 大きさは電卓でも中身は立派なコンピュータという代物で、Lotus 1-2-3という表計算ソフトまで使える。その後も、この分野には、断続的ではあるがやってきて、コンパックの買収で「iPaq」を手に入れた。
しかし、そのiPaqをせっせと作っていた台湾HTCが、いまや世界を代表するスマートフォンメーカーとして独り立ちしているのだ。IBMのパソコン事業が中国Lenovoに身売りされ、Gatewayは台湾のAcerに買われた。HPのPC部門も、中国企業に売却されることになるのではないかという見方をする人もいるようだ。
※私が愛でていまもときどき使っている「HP-29C」は1975年製のLED表示の関数電卓。
HPは、もともとテクノロジーと品質の会社というのが本来のイメージである。質実剛健がモットーで、あるときHPの電卓をバラしてみたところ本体裏側のゴム足(通常粘着式でついている)が、本体内部に貫通して絶対に取れない構造になっていた。1980年代に知る人ぞ知るという存在だった同社のパソコンは、昔のIBMのパソコンと同じく本物の金属製のカギを回さないと動作しないようになっていた。
ニューヨークで行われイベントも、そうした完成度を「パーソナル」では少し違った形で蘇らせるというコンセプトだった。最近のノートPCのデザインフィロソフィーとして掲げられている「HP MUSE」 (materials, usability, sensory appeal & experience)というのは、まさにそういうことなのだが。
とはいえ、HPのパソコンの歴史は、実際にはそんなに長くはないのである。インターネットによって、パソコンへのニーズが高まったことの受け皿としてPCを売りまくった。個人も企業もひっくるめて作れば安くなるというのもあったろう。ところが、その高みから「PCの次」を見てはいたが、うまくリーチできなかったというのが本当だろう。
HPのパーソナル部門の担当者で、同社のPC躍進の立役者といわれるBradley氏は、PalmのCEOをつとめたという経歴の持ち主だ。そのことと、昨年のHPによるPalmの買収とがどう関係するかは私は知らない。しかし、ノキアのCEOが、元マイクロソフトのStephen Elop氏になったとたんに、Windows Phone 7を採用することになった。世界のハイテク企業といえど、「人」というのが戦略を左右するということか。
コンピュータの歴史を見てくると、米国式の企業システムというのが、どうもIT産業に向いているのかどうかあやしいように感じることがある。誰彼がというのではなく、四半期ごとの業績を問われ、フォーチュン500に入るような企業でもトップが数年おきにすげ替えられていく。ITを育ててきたはずの金融資本主義というべきものと、ITというのは必ずしもいつでもマッチするわけではない部分があると思う。
今回のHPのアクションも「正しい」というのがおおかたの評価のようだし、私もそのように思っている。いまは世界最大のパソコンメーカーでも、たかだか10年間がんばっただけではないかという気もする。それよりは、これからのはずのスマートフォンやタブレットの可能世界が1つ減ったのが気になる。これからこの分野はアプリからHTML5に向かうという意見もある(ソフトの動作環境としてはiOSもAndroidも関係なくなる)。HP(Palm)ならではの洗練された端末の進化を見たかったという人も少なくないはずである。
なお、まだこれを書いている段階ではPC部門に対して具体的なアクションがあったのではなく検討されているという情報の範囲なので誤解のないよう。
「香港動漫電玩節」(Ani-com=ACGHK 2011)に出かけてきました。「動漫」というのは「アニメ」のこと(ここではアニメやマンガですかね)で、「電玩」というのは「コンピュータゲーム」のことなのですね。私は、2003年から何度か来てるんだけど、どんどんエスカレートしてきていて、13回を数える今年は、5日間で65万人以上を動員したそうな。会場は、1997年の返還式典も行われた香港会議展覧中心ということで、左に曲がればつくというところで目撃したのがコレ。
たぶん動漫節とは関係ないと思うんだけど、西九龍中心というショッピングセンターにあるというAKB48のオフィシャルショップのラッピングバスでした(2階建てバスにバシッと決まってますよね。これがAKB48の子たちが移動するバスとかいうんじゃなくてただの路線バスというのがいいでしょう)。シャンシュイポという香港系電脳マニアで知らない人は「モグリ」といわれるところがあるのですが、そこから近いところに西九龍中心はあります。
香港ではバスの模型が人気ジャンルで「80M」という有名店もあるんだけど、さすがにこのバスはないか? ところで、香港でショッピングセンターといえば、こんな話があるのを思い出した。『本の雑誌』(2005年4月号)に書いたんだけど、香港にはスポーツ新聞みたいな新聞しかないという話の最後の部分で紹介しているエピソード。その部分を引用しておこう。
ある人物のところに一通のメールが舞い込んだそうだ。それは、「香港でちょっとした仕事をしてくれないか?」というオファーだった。彼は、ホームページ上で自分の“太さ”をネタにしていたらしい。20万円のギャラを目あてに香港まで行くと、大きなショッピングセンターのオープニングイベントで「日本から相撲取りが来た!」という催しだった。フンドシ姿でシコを踏んだり、地元のチビっ子と相撲を取ったりのパフォーマンスが終わると、新聞記者たちがやってきて「あなたは相撲取りなのになぜチョンマゲを結ってないのか?」と鋭い質問をしてくる(さすが新聞記者)。すると、隣に座っていた関係者が「彼は、日本で唯ひとりサラリーマンでありながら相撲取りでもある。だからチョンマゲを結わないことが許されている」と真顔でサラリと言ってのけたのだそうだ。これはそのまま某有名新聞のトップ記事として掲載されたという噂である。
ちょっと話戻ると、香港はトラムもバスもラッピングが実に決まっているんですよね。これは、何の映画の広告か分かりますかね? よくみると、窓まで塗ってありますが大丈夫ですかね?
話がヨコ道にそれでしまいました。香港動漫電玩節で、おさえてきたスナップをいくつか紹介したいと思います。
入り口すぐのところに控えているのは、毎回なのですがマイクロソフトと香港でいちばん売れてるマンガ誌『Co-Co』を出している正文社出版です。マイクロソフトは、もちろんXbox360でキネクトをデモ中。
このイベントの名物、ガンプラのコンテンストのノミネート作品がずらりと展示されています。たしか、『電撃HOBBY』の編集部も表彰式のために来ているはずなのですが……。
日本の会社もバンダイなどオモチャ系から角川など出版社系、ワコムの展示も常連化しています。変わったところでは「豆しば」の展示ブース。今年、香港進出をはたしたヤマト運輸もコミケみたいに「買ったもの送ります」とブースを出していました。
仮面ライダーと右は中国のTwitterといわれるweibo.comのブース(3~4年前からマンガ系の出版社を中心に中国企業の出展が目立ってきています)。
イベントは、企業ブースでも買い物ができますが、この「女僕書房」はメイドさんが店員をしている本の販売コーナー。
なかなかいい感じでしょう。
世界の三大モデルメーカー「ドラゴンモデルズ」の関連企業UMLのブースでは、香港のリカちゃん(?)こと「mimo」が、絶好調な感じです。実在する高校の制服を着たモデルから、町の屋台の看板娘、日系の某有名レストランチェーンの店員まで再現度のほどよく高い膨大なファッションのコレクションが用意されているので、ご興味のある方はご覧あれ。
今回いちばん気になった展示。台湾のオンラインゲーム企業Gamaniaがマンガの配信事業を準備中。アジアの主要国とスペインの6カ国向けとのことでした。
やはり香港フィギュアの展示もありました。
香港独立系作家のブースといっても三聯書店などから出ている単行本です。若者向けの情報誌が結構こういうアートっぽいマンガを載せてますよね。手前の『PANDAMAN』は私の好きな作品。
いい感じではないですかね。
撮影中。ちょっとやる気ない?
いいでしょう。
楽しそう。
なかなか決まってます。
なぜかスポンジタワシを販売中。
物々しそう。
会場の外は折からの台風ですがこんな風景。
美人時計香港もデモ中でした。モデルさんとツーショット!!
東京カレーニュース
個人サイト(http://www.8-p.net)個人Twitter(http://twitter.com