2011年05月
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 ニューヨークの知り合いが日本に帰ってきて、お土産に『GOOD』誌を持ってきてくれた。私が、一時期とても気にしていた雑誌で「取り寄せて読みたい」と以前相談したことがあるので覚えていてくれたのだ。どんな内容かというと、誌名のとおり「良きこと」がテーマともいうべき雑誌。人間社会が抱えるさまざまな問題に目を向けたものなので、次の号では東日本大震災や東京電力の福島第一原子力発電所のことが出てくると思います。その切り口がどんなふうになるのかちょっと注目でもあり。

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※上になっているのが最新号でありますね(Issue 23=Spring 2011)。

 最新号では、『L.A.TIMES』の休刊をあつかった記事があって、旧来型メディアの棲家ともいうべき立派な石造りの建物やその内部がとても印象的です。この雑誌についてはいろいろ書きたいことがあるのですが、「Geekなぺーじ」でいろいろと書かれていますね。それから、greenz.jpが提携(?)関係にあるようで、編集部訪問記事をやっていて楽しい感じでありました。

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 この雑誌、定期購読するときに自分の選んだ環境団体に全額寄付してしまうというキャンペーンが話題となりましたが(最初意味が分からなくて本当に驚いた)、サイトと紙の雑誌のバランスをうまくとっているのも特徴といえると思います。この号では閉じ込み広告企画(紙のサイズの違う部分を雑誌内雑誌にしてある=当然目立つしその分お金がかかる=クライアントはHYUNDAI)として、「GUIDE TO VOLUNTEERING」という8ページものが入っていました。この雑誌はその理念が受け入れられているんだと思いますが、実は、個人的に注目している理由は、彼らの主張をビデオにして配信していること、もう1つは数値をとても重要視していてInfographicsをサラリとやっている感じがいいとも思っています。

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※数値ということで、グーグルトレンドで「GOOD」と「BAD」を比較してみた。ここんところ「GOOD」がキーワードになってきているのか優勢なようです。

 要するに、あつかっていることも表現の仕方も、いまどきのカッコよさはこうであるべきということを示そうとしている。実は、この雑誌はそういう心とやり方のスタイルマガジンなのだ。というか、雑誌というのはそういう方向性をもったものであるべきなのだろう。そして、たぶんこの「GOOD」と「BAD」のグラフは全然関係ないんだけど、ムーブメントとして世の中が「GOOD」に向かうんだとしたらとてもすばらしいしカッコいい。もっというと、これともまた少し違う日本的なカッコよさのアプローチもありますよね。


http://twitter.com/hortense667/


 1年前のいま頃、私は、1つの秘密のプロジェクトをスタートした。計画自体は、かなり前からあって何かと忙しくしているうちに時間だけが経過していた。「このままではやらずに終わってしまう」という思いから、協力者のサトー氏に「ビデオを撮影してほしい」とメールしたのが、ちょうど1年前くらいなのだ。

 計画というのは、この日記でも完成時には書いた「アニメーションフローティングペン」を作ること。ビデオというのは、その中のグラフィックの元画像を作るためのものだった。その後、6ヵ月間におよぶ試行錯誤をへて完成したのが「アニメーションフローティングペン」の2本である。


※私が個人的に作ってあくまで趣味的にだが販売をしている「アニメーションフローティングペン」。@awabowさんがこんなカッコいいビデオを作ってくれました。

 フローティングペンというのは、よく観光地のお土産屋なんかに売られているペン軸の中に液体が入っているボールペンのことだ。これには大きく分けて2種類あり、1つは、女性の服が脱げちゃうヌードペン、もう1つは、中で動物や乗り物や人物などの小さな絵が端から端へ移動するものだ。私は、これが昔から好きで、いつか自分のオリジナルを作りたいと思っていた。

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※私の机の中から出てきた東京タワーのフローティングペン。ヌードペンの要領で中で白いパイプ状の物体が動き、昼と夜の東京タワーが表現されている。

 アニメーションフローティングペンとして、「A Man in a Pen, Walking」、「A Man in a Pen, Swimming」の2種類を作ったのだが、このうち「Walking」の歩く人の画像が、私自身をビデオキャプチャしたものなのだ(それでサトー氏に撮影を頼んだのですね)。一方、「Swimming」の方は、その頃、私は毎週泳いでいたのだが、ビデオ撮影はむつかしそうなので、これはサトー氏にお願いして描き起こしてもらった。

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※図工芸術さとうたく氏が撮影してくれた私が歩くようすのビデオキャプチャ画像の一部。神田小川町のBRENZのあたりの裏通り。

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※キャプチャした画像からいいところを取り出して、私が歩く6コマのアニーション画像が作られた。

 こうして作られた各コマをシマシマの裏側を通ることを想定して、そのコマでシマシマの隙間から見える部分だけを切り出していきます。

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※これが1コマ目。なんとなく私のシルエットが分かるでしょう。

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※2コマ目。

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※3コマ目。3本の線になってしまった私。

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※4コマ目。私は1本の線とヨゴレくらいの存在になっています。これ見るとかなり苦しいところでアニメーションしているのが分かると思います。

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※5コマ目。これでも人ですからね。

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※6コマ目。これで全部です。

 こうやって切り出した画像を1枚に重ねてやれば、シマシマアニメは出来たようなもの。いまどきフラッュがあるのでコンピュータ上でシミュレーションできてしまいます(私はFlash使いなのだ)。

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※1~6コマを重ねて1枚の絵にしたもの。

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※ペンを下のほうから見るとこのシマシマ画像が見えますね。シマシマと絵の間に隙間があるので視差が生じてしまいます。ということで、チマチマなんですが30センチくらい離して見ていただけると助かります。

 データはできたとしてフローティングペンをどうやって作るのかというと、デンマークのエスケセン(ESKESEN)社に依頼する。メールしてみると、日本の代理店レトロバンクを通してくれと言われた。指定されたフォーマットでグラフィックデータを作り、先方が試作、それを確認して量産という手順となる。

 ところが、最初に作った試作は、まるでアニメーションしなかった。印刷精度の問題などがあり、コンピュータ上のシミュレーションどおりには全然再現されないのだ。これはダメか? と思ったが、エスケセン社は「こんなペンは見たことがなく大変に驚いている」とのこと。ということで、ちょうどよいシマシマの位置など思考錯誤の末、都合6本の試作をへて完成させることができたのだった。

 ボールペンの完成告知、宣伝活動後は、いくつかのサイトや雑誌で紹介していただきました。この場を借りて感謝の気持ち伝えたいと思います。そんな中でも圧倒的に驚いたのは、年明け早々、「世界一のペンのコレクター」と称する人物からメールが届いたことだ。前後して、さとうたく氏と湯浅陽子さんのおかげでプロジェクトの公式サイト(英語)ができたのもあるのだが、なにしろググってもほとんど出てこないような段階である。本当に「マニアというものの恐ろしさ」を思い知らせれた感じ。

 日本人からも問い合わせが数えるほどしかなかった段階で、いきなり海の向こうから匂いを嗅ぎつけて、いち早く連絡をしてくるとは! デンマーク在住のフィン・ソレンセン(Finn Sørensen)という人物で、35万本(!)のコレクションを、その名も「THE PEN COLLECTOR」というサイトで見せている。

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※世界一のペンのコレクターによる「THE PEN COLLECTOR」。フローティングペンに関しても非常に勉強になる情報がありました(デンマーク語と英語)。

 ソレンセン氏は、私のペンを2セット購入。私のペンも彼のコレクションに加わったらしい。ところが、日本からデンマークにボールペンを販売するのに、通関手数料が約4,000円もかかるそうな! 日本や米国が良心的なので忘れがちだが、EUは、こういう国が多いらしい。これは、湯浅さんの旦那さんがスペインに帰るついでにハンドキャリーしてEU内で発送して関税ゼロとなりました。お世話になりました。勉強にもなる。

 その後も、米国のフローティングペンのファンサイト「FloatAbout」さんが、Youtubeの映像を見て記事を書いてくれたり(ここも本当に濃いすばらしいサイトなのだがその後ペンの販売もしてくれた)、デザイン・建築系の有力サイト「Designboom」が紹介してくれたりなど、いろいろな問い合わせがありました。インターネットって、本当すごいですね。

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※米国のフローティングペンサイト「FloatAbout」。新着が、NYTIMES.COMとは! 本当に米国人てフローティングペン好きなんですね。MoMAとかもいまでも作っています。

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※さすがに世界的なデザイン・建築系サイト「Designboom」。ここに掲載されたことで、欧米アジア各国、ロシア語、ポルトガル語やアラビア語まで、文字どおり世界中でこのペンのことが紹介されたのは驚き。

 当初の予定では私の知り合いにあげたりするということだったのだが、文房具仲間の五十音さんや信頼文具舗さんに、なにから何まで相談して販売することになったのですね(一応趣味的とはいえ元が取れる値づけをして次をねらう作戦)。ところが、昨年暮れから最近まで、私は、仕事がめちゃ忙しかったために知り合いルートのご紹介のお店がほとんどなのでありますが。取り扱っていただいているお店をご紹介します。

五十音(銀座)
信頼文具舗
MISDIRECTION
アマゾン(WalkingとSwimmingの2本セットのみの販売:密林舎)
BEAMS(BEAMS Online Shop、ZOZOTOWNでも扱っています)
丸善(丸の内本店4階セレクション売り場)
文房堂(神保町)
黒松:PHYSICAL TEMPO(渋谷パルコPART1ロゴスギャリラリー)2011年5月12~24日の期間限定

 ところで、シマシマアニメですが、『GALLOP!』や『SWING!』といった動く絵本(スキャニメーション)が、日本でも販売されて話題になっている。実は、シマシマアニメ(これは私が勝手に呼んでいる名前でちゃんとした名前は別にあるのですが)って、ここ数年、世界中でジワジワと盛り上がってきたものなのですよ。これについては、「シマシマアニメ集まれ!」と題して書きたいと思っています。

A Project for Making a Floating Pen at least Once in my Life
(一生に一度くらいはフローティングペンを作るだろう!」公式サイト
ジャイアン鈴木によるYoutubeムービー
http://twitter.com/hortense667/

 黒松といっても台湾で売っているドクターペッパーそっくりの飲み物の名前ではありません。いわゆるアートなネットショップ、ウェブデパートみたい感じなのですが、これの実店舗版「PHYSICAL TEMPO」というのを、2011年5月12日~24日までやっているのですね(ちなみにTEMPOといっても香港で売っているティッシュではありません)。場所は、渋谷パルコ・パート1のロゴスギャラリー(B1)。

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※天才編み師203gowさんの石灯籠とか獅子脅しとかの作品群。

 昨年12月から個人的に販売している「アニメーションフローティングペン」というのがありまして、これの黒松での販売というのが懸案だったのですが、このPHYSICAL TEMPOで実現していただきました。なにしろ、ペンを作った直後からめちゃ忙しくなっちゃって営業してない。販売店は、人づてに紹介などで6社しかないですからね。あくまで商売ではなくて芸術活動のつもりなので、これくらいがちょうどよいのかもしれないですけど。そういえば、昨年の冬コミでも売らせてもらいました。

 ということで、12日の夕方、PHYSICAL TEMPOのオープニングパーティというのに出かけてきました。なんというか、女子ナード力(りょく)というもんがここまで盛り上がっているとは知りませんでした。ということで、男の子系は、金築浩史さんの「ROBOTRON」アップライト型ゲーム筐体とか、綱島慶さんのオーディオ系とか、寺田克也さんのヘルメットとか数えるほど。で、ボクのようなステーショナリー系は、なんか浮いてるなーという感じもしないではないのですが……。

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※手前がAppleIIで楽しく遊んだ記憶がよみがえる「ROBOTRON」、奥が寺田克也さんのヘルメットです(もちろん手描き)。

 個人的に惹かれたのが203gow(にいまるさんごう)さんの作品群。なんでも編んであるんですが、要するにこれってコードでなんでも作ってしまうプログラマの世界じゃんという気分に少しなりました。羊毛フェルト作家のそ子さんの作品群も気になります。とくに骨やタコの足とかが、なんともいえない味わいの仕上がりになっているのがたまりません。

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※のそ子さんの作品。

 こんな中で、私のアニメーションフローティングペンも展示・販売させていただいています。ペンの中のチマチマなアニメーションなんですが、サンプルも置かれているので30センチくらい離してご覧アレ。今回、これに際して、図工芸術さとうたく氏にデザインしてもらったフライヤーがコレです。

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 ちょっとこのフライヤーの裏側にも書いたんだけど、フローティングペン発売後に起きたいろんな出来事については改めて書きたいと思っています。マニアの本当の恐ろしさとか、EUの関税があまりにもムチャクチャであるとか、アラビアやロシアのサイトでも紹介されちゃったとか、本当にいろんなことがありました。

 PHYSICAL TEMPOでは、たくさんの作家の作品を見れて買えてしまうので5月24日までに渋谷パルコのロゴスギャラリーに足を運んでみてはいかがでしょうか? 期間中、イベントなんかも予定されています。なお、渋谷まで来れない人でボクのペンにご興味を持ってくれた方は、公式ページをご覧ください。


PHYSICAL TEMPO
アニメーションフローティングペン公式ページ


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