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自由研究「回転した100円玉はどっちを上にとまるか?」

Blogmag , 近代プログラマの夕4

Posted at 2010/08/24 17:07:51 by hortense

 コインを投げあげたら「表」と「裏」が出る確率は、だいたい同じことになっている。しかし、よく考えるとコインの表と裏には、それぞれ国の表記や金額や植物や人物や建物なんかの絵が浮き彫りされている。

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 ※米国の1セント硬貨。この硬貨には2人のリンカーン像が浮き彫りされているのをご存じだろうか? 表の横顔はすぐに分かるが、裏のリンカーン記念館の建物の中央に、1ミリ以下のあの椅子に座ったマイクロ文字(偽造防止のために紙幣に印刷されている非常に細かな文字)ならぬマイクロ・リンカーン像がちゃんと作られている!

 浮き彫りになっている以上、コインが幾何学的に面対称であるわけはなく、表と裏のどちらかに重量が偏っているはずである。コインを投げ上げた場合は「コイントス」という言葉があるとおり、表と裏が出る確立は、まあ無視していいくらい同じなのだろう。

 しかし、それって本当はどのくらいの微妙さなのだろうか?

 『カオスとアクシデントを操る数学』(エドワード ・B・バーガー、 マイケル・スターバード著、熊谷玲美、松井信彦訳、早川書房刊)は、「難解なテーマがサラリとわかるガイドブック」副題されているとおり、誰でも読める感じで身の回りの(数学用語としての)カオスについて解説したものだ。この本の中で私がとても気になったのが、「統計学を考えるためのコイン」と題されたエピソードである。

 それによると、テーブルの上に100枚の1セント硬貨をそっと立てる。全部並べると非常に不安定な状態になるが、ここでテーブルをトンと叩く。すべての1セント硬貨が倒れたら、どちらを表にして倒れたか数える。どうなるか? 

「この実験をしてみれば分かるとおり、半分よりもかなり多くのコインで表が上になるではないか」(同書より)

 これは、つまりリンカーンの横顔の肖像の表のほうが、リンカーン記念館の裏よりも軽いということに違いない。ところが、さらに読んでいくとこのようなことも書かれている。1セント硬貨をテーブルの上でスピンさせてしまうのだ。すると、回転した1セント硬貨はやがて勢いを失ってテーブルの上でとまるはずである。この場合、

「回転する一セントコインは、表よりも裏が上になって倒れるほうが多いのだ」(同書より)

 コインを投げ上げて表と裏が出る確率は、だいたい同じであると我々は思っている(それでもケチがつかないようにコイントス専用のコインも世の中にはあるそうだが)。だから、テーブルの上に立ててトンとやったときも、ましてやテーブルの上で指ではじいてスピンさせたときも、表と裏は同じくらいの出現率になると考えそうになる。それが違うというのだ。

 立てたリンカーンが上向きに倒れたがるってのは本当だろうか?

 統計学の教授である著者がウソを書くとも思えないが、追試したくなるのが人情というものである。海外に旅行したときの残りのコインとかが机の中にたまっていて、なんとかそれをかき回したら20枚の1セント硬貨が出てきた(2010年に新しい裏面の1セント硬貨などが発行されているが、出てきたのはすべて1959年~2008年に発行されたリンカーン記念館のやつである)。しかし、コインを立てるのは大変なので、1枚だけ割とキレイな奴を取り出してスピンの実験だけしてみた。



 ご覧のとおりわずか10回しかやってないのだが、表と裏が3:7という出現比率となった。この話をネタにして、新宿のパキスタン料理店のガラスのテーブルの上でやったときも、2回やったら2回とも裏が上。これを見ていたNくんは「これをブログで書く前に使うでしょう」などと言い出す(なぜ「トス」でなくて「スピン」なのかと突っ込まれるのは確実だと思うが……)。どうも、本に書かれているとおりスピンすると1セント硬貨は裏が上になる「気配」がある。

 当然のことながら気になるのは、「日本の硬貨ではどうなのか?」ということだ。ところが、日本には1セントのような大きさと柄の硬貨というものがない。それでも、いまの100円硬貨に関しては「100」という数字と発行年だけの表に対して、裏側の桜の花のボリューム感がずいぶんあると思う。ということで、100円玉をスピンしたみました。



 よく動画を見ていただいた方は分かるとおり、失敗スピンをのぞくと、表と裏で8:12という出現比率となった。1セント硬貨の場合にくらべると拮抗しているし、たった20回しか試していないので、実験としてははなはだ心もとないが、それでも、どうも差が生じている「匂い」というものがする。

 はたして、私の実験ってかなりいい加減なので、実は、もっとたくさんやるとまったく逆の結果になる可能性もあると思う。しかし、カオスの本の著者が書いているとおり、まったく表と裏の出る確率が同じということはないのだ。

 自由研究「回転した100円玉はどっちを上にとまるか?」だが、すでにこのような研究をされている人はいるのだろうか? あるいは専門の学問分野があって、すでに方程式で解かれているのだろうか? それとも、これって地球の自転とか気温とか心理的なものも影響して、とても深い分野になっているのか? というか、表と裏の重さだけで違いが出るものなのか? それとも、世の中の小学生はみんな知っていたりしてなんてことがないといいのだが……。

 実験できなかったが、テーブルの上に立ててトンとやると1セント硬貨ではリンカーン(エイブ=リンカーンの愛称ですね)は表になる。だとすると100円玉を100個立ててトントンとやっていったら、100という数字が並ぶのか? ほかの硬貨をスピンしたらどんな結果になるのか? ほとんど『怪しい伝説』の領域に入ってきたけど、なにか心あたりなどある方は、@hortense667 あてお知らせあれ。

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