2010年06月
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 NHK教育の『ITホワイトボックスⅡ』に出演させていただきました。お題は「ここまできた! 最新デジタルテレビ」で、6月17日の放送でしたが、NHKオンデマンドで見ることができます。番組紹介のページにあるとおり紹介したキーワードは「テレビ液晶」、「DSP」、「3Dテレビ」の3つ。

 液晶については、「むかしの液晶機器お持ちでしょう?」と言われて、私が持ち込んだのが、セイコーが80年代のはじめに発売した「TV-WATCH」(DXA002)とオリベッティの「M10」。TV-WATCHのほうは1.2インチのブルーの液晶ではあるんですが、当時としては超ハイテク。いま見てもちょっとした感動があります。

 1982年に初代(DXA001)が出たのはちょうど『モノマガジン』が創刊になった頃。創刊号の表紙が万能ハイテク腕時計といったイラストだったのが、それ以上のものが出てきて驚いたと誌面にありました。しかも、セイコーの人は「カラーもすぐできる」と言ったそうで、人のイマジネーションを技術が追いぬいていた感じがします。一方、オリベッティのM10のほうは、ご存じのように、NECのPC-8201やTRS-80 model 100の兄弟機です。

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※NHKの技研公開で展示されていた「アイコノスコープ」式のテレビカメラ。どこかジャグルパークな面構え。番組収録をNHK技研で行ったんですね。

 さて、今週もITホワイトボックスⅡがありまして、お題は「家電からネットまで 影の主役 OS リナックス」。私の場合、リナックスというと、99年に歌舞伎町のロフト・プラス・ワンで『東京Linuxサミット』なんてのを主催。入場希望者が地下2階から地上まで列になって「オタクアミーゴ以来の集客」なんてことがあったんだけど、その後はクライアントで使っているわけでもありません。

 しかし、今回は、リナックスの広がりからみたITということで、本当にベーシックなところだけお話させていただきました。収録時にデジカメを作っているメーカーの方も来られていてお話をうかがったり、さまざまなジャンルで使われることによりる技術の交流が面白いといった点など勉強になりました。基本的に、リーナス・トーバル氏のインタビューを中心にした構成なのですが、インタビューでもそのあたりの話が出てきます。

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※同じく技研公開で展示されていたスーパーハイビジョン用のカメラ。とにかく映像が凄すぎる。なぜか大きさはアイコノスコープと同じくらい。

 80年頃、マイコンチップというものが出てきて、マイコンブームというものがあって、やがてパソコン産業ができあがります。しかし、マイクロコンピュータの特に日本での広がりは、家電製品や電子機器に組み込まれたことが大きい。まさに、『日本人がコンピュータを作った!』でインタビューさせていただいたTK-80の生みの親こと渡邊和也さんが活躍された分野です。

 要するに、炊飯器でお焦げがなくなったとか、エアコンで風邪をひかなくなったとか、テレビがリモコンになったとか、そういう形でマイコンが生活の中にヒタヒタと入って行った時代。

 ちょうど、それと同じようなことがリナックスで、ソフトウェアのレベルで起きている。ソニーは、現在のデジカメのライナップのほぼすべてをリナックスで動かしているとのこと。私の場合は、レコーダーやアンドロイド端末とか持っているけど、しかし、外からはシールも貼ってないので見えないのですよね。身の回りのリナックスで動作している製品を数えてみると、とんでもないことになっているかもしれません。

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ITホワイトボックス 2 「ここまできた!最新デジタルテレビ」
0グラムへようこそ『日本人がコンピュータを作った』

 愛読誌『IT&家電ビジネス』(量販店の方々が読まれる業界誌ですね)の最新号によると、この春の携帯電話の販売に異変が起こっているそうだ。Gfk Japanのデータをもとに言っているのだが、携帯電話の売り上げに占めるスマートフォンの割合が、台数ベースで3割、金額ベースで4割にも達しているというのだ。

 いくら携帯電話が売れていないとか、ソフトバンクの携帯売り上げの7~8割がiPhoneだと噂されていたりもするが、これは極端ではないか? しかし、今日も、裏神保町で3人の女子大生ふうが1人の手元を囲んで見ていると思ったら、それはiPhoneだった。

 そこに、ドコモのXperiaの売れ行きも順調だそうだ。北米では、Android携帯の売れ行きがiPhoneに迫ってきているという指摘もある。iPhone×Androidの図式が、いよいよ際だってきているというわけだが、たまたまAndroidの先祖にあたる「Sidekick」のことを話題にしていたらあることに気が付いた。

 それは、世界中を巻き込んで動いている「iPhone×Android」の図式を作り出した遠因は、孫さんのソフトバンクにありかもしれないのだ。

 「Sidekick」というのは、02年に、デインジャー(危険)という名前の会社が発売したスマートフォンの“走り”といえる端末である。当時、「ブラックベリー」が、背広族向けにメッセージング端末として定着しつつあったところに、“18歳から34歳”までをターゲットに売り出された。メール、ウェブ、AOLを使ったチャット、新聞(ニューヨークタイムズ)、オプションで撮影、ゲームができる。折しも、アップルがiPodを発売した翌年である。

 私は、ニューヨークに住んでいた @spike55tyo さんに教えてもらって、さっそく買って送ってもらい記事にしたのだった。デインジャー社は、創設者の顔ぶれも話題だった。元アップルの3人(うち2人は後にWebTV、1名はPowerBook150の設計者でフィリップスでVero 1を開発)という顔ぶれに、アップルの創業者のウォズニアックも取締役に名前を連ねていた。

 ところが、先日、その後のデインジャー社とSidekickについて、改めて @spike55tyo さんに教えてもらったことがあった(Twitterの私のTL上で)。

 それによると、Sidekick発売後の03年に、ソフトバンク系のVCが、デインジャー社に出資している。創業者のアンディ・ルービンが独立してAndroid社を設立したのはこのタイミングらしいのだ。05年にグーグルが同社を買収して、現在のオープン・ハンドセット・アライアンスとAndroidとなるわけなのである。

 いまさらのようにSidekickを引っ張り出してみると、物理的なボタンが、Androidと酷似していることに気づく(ホームボタンやバックボタンが特徴的)。孫さんが、1兆7000億円も出して日本のボーダフォンを買収したのは4年後の06年である。孫さんって、03年には、もう携帯電話に興味があったんだということも分かる。08年には、マイクロソフトがデインジャー社を買収。

 はたして、ソフトバンクがデインジャー社にお金を入れなかった場合、Andoridが、どんな道をたどったかは不明である。このようなプラットフォームを提案する会社としては、日本のアクセスなどもあった。存在しなかった歴史については何もいえないのだが、03年にアンディが独立していたことが、いまのiPhone×Androidの図式を生み出したことは間違いない。

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iPhoneとAndroid、どっちを使う?(続々々)http://research.ascii.jp/elem/000/000/029/29945/

 私が外で仕事をして会社に戻るときの“ケモノ道”の上に、ヨドバシカメラ西口本店がある。JR新宿駅や、都営新宿線、大江戸線から、新宿西口に点在する住友不動産ビルを巡回するバス乗り場までの途中に、同店はあって、私は本当にその中を斜めっぽく通過する(夏場は空調でクールになりたい気分もあるが)。

 そこで、いま俄然目立つのがiPad売り場。オヤジたちが群がっているのだ。来週の『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)では「買うべきか、買わざるべきか」とやるそうだ。ソフトバンクのテレビコマーシャルも「使い方に、正しいも間違っているもない」ときた。この理屈っぽさは、1970年~1980年代にかけて『ポパイ』にはじまるカタログ文化の洗礼を受けた、いま40~50代をターゲットにしているとしか思えない。

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※本文と関係ないけど。わずか15グラムのiPadケース「Bubble Wrapper」。紹介ページには私の利用例も掲載されています。

 アスキー総研が、iPadの発売直前に行った『iPad購入意向調査』でも、購入意向者のピークは、30代、40代と高かった。『MCS 2010』から求めた「ピュアiPhoneユーザー」(iPhone購入者からMacOS利用者を差し引いた人たち)が20代がピークなのとは対象的だ。ソフトバンクの事前調査でも「買うのは年配」という分析結果が出ていたのだろう。

 子供から老人まで使える端末に仕上がっているところが、iPadの素晴らしいところなのだが、けして白モノっぽくならないところがアップル。しかし、このテレビコマーシャルは「さすがソフトバンク」としか言いようがない。

 なにしろ、購入前の「利用シーン」についてのアンケート結果は、めちゃくちゃだった。1月のジョブズのプレゼンがそうだったので、ソファの上とか旅行先というのが高いのだが、購入意向者(予約者+購入予定者)では「自宅の机の上」で使うがトップにくる。

 なんと、「コンピュータとして使いたい」といっているのだ。

 利用目的も「メール」「ウェブ」が、1位、2位とくる。アップルを取り囲んであれやこれやモノが出てくるたびに批評するだけの我々とは違う。これもアップル的には折り込みずみのことなのだろう。事実、ワープロ(Pages)、表計算(Numbers)、プレゼンテーション(Keynote)の「パソコンの三種の神器」もきっちりだしているからだ。

 「なぜiPadは、ここまで日本のオヤジたちを引きつけるのか? これでは“オヤジPad”ではないか? その理由を述べよ」という話がある(つまり、私のまわりでその話になりがち)。これは、富士通がTVコマーシャルに高倉健を起用したらショップに「健さんのパソコンをくれ」と言ってやってきたオヤジがいたという時代に匹敵する、当業界にとっての「オヤジの春」だからだ。オヤジはiPadに何を期待しているのか?

1.女性にモテる(見せびらかせる)
※iPhoneのときもその目的で無理して買ってビールを飲むアプリなんかを女性に見せびらかしていた愛すべきオヤジがいたでしょう。

2.iPhoneには出遅れたがiPadでいきなりキャッチアップ
※アスキー総研の調査ではiPad購入意向者に占めるiPhoneユーザーの割合は25%しかいない。iPhoneとiPadは別の層が食いついている。

3.老眼でiPhoneは断念したがこの画面なら……
※これはあまり人のことは言えないのだが実際ラクでオススメだ。

4.ビジネス誌がやりまくるので
※iPad購入意向者は経済紙やビジネス誌、経済紙系サイトの利用者。『週刊ダイヤモンド』や『クーリエジャポン』、WBSの功績も大。

5.なんだかよさそうだ
※iPhoneのこともなんとなくは理解している。簡単そうではないか、みんながいいというしオヤジの心理的な家庭内のテリトリー確保にもなる。

6.電子出版の関係なので
※iPadの売りの一つが電子書籍や電子雑誌が読めること。自分の仕事に関係ありと出版関係者が買った。


 iPadの出荷がはじまって、いろいろな使い方が明らかになってきて、実際、Twitterの適切なクライアントが整備されてきたのも最近である(Osfoora HDオススメ)。利用目的もまだ明確でないのに、ポンと買えちゃうのは、ある程度お金に余裕のあるオヤジ層という見方もできるだろう。

 1~6と並べたが、6の理由で買う人たちはまともな人たちだ。というよりも、iPadは、電子書籍や電子雑誌だけで使うものではない。むしろ、グーグルTV的な「動画とネット」の共存する世界(テレビ受信はないわけだが)、ソファに座って使う以上「ネット通販」の世界のほうが経済的インパクトが大きいはずなのだ。

 さて、ここで言いたいのは5の「なんだかよさそうだ」である。これが、実はとても当たっていると思う。「iPhoneのラクチンさが、iPadのサイズになったときに何ができるのか?」という壮大な実験に、いま我々は付き合わされているのだ。しかし、そこで得られる果実は実に大きい。それは、

「運用」をしなくていい

ということだ。「運用って何のこと?」と言われる人も多いだろう。要するに、コンピュータを使うときに、目的とするアプリケーションやウェブアクセス以外に、自分のパソコンを管理することだ。ファイルを整理したり、なにか周辺機器をつなぐのに設定をしたり。「環境」を整備する。ハウスキーピングというものが、いままでのコンピュータには必要だった。

 それが大幅におさえられているのがiPhoneやiPadなのだ(設定が1カ所にまとめられているのもそのためだろう)。そんなスマーフォンみたいな感覚でいける感じになっているのは、クラウド系サービスがふえているという部分もある。とはいっても、MacやWindowsに比べて、いまのところできることも限られるので、過大評価はできないので誤解なきよう。いまのところオヤジのおもちゃに丁度いいなんて悪口も聞こえてきそうだ。

 とはいえ、これだけできるならiPadみたいな内容のネットブックやモバイルノートがあったらサイコーという気分になってくる。オヤジたちは、なにしろ「自宅の机の上」でiPadを使いたいと答えているのだ。

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※本文話題と関係ないけどiPadに続いて導入したのがVAIO type P。私の場合、仕事の関係で持ち歩きはいまのところコッチになってしまう(電池駆動時間も1.5倍になった)。

 おそらく出荷がはじまって、これからiPadの利用層もオヤジ中心という印象からもっと広くなるだろう。いまの若い層はカシコイので使えると分かってからなら手を出すはずである(それでも彼らはiPhoneのほうになるか? iPhone4で、Bluetoothキーボードがつくようになったので、iPhone+キーボード+12インチフレネルレンズなんてユーザーも出てくる可能性もある)。いずれにしろ、iPadで、新しい世界が広がりはじめているのだけは間違いない。

 その世界をオヤジがリードしているというのは(理由は邪推できるにしろ)結構な図式ではないか?

p.s.
 オヤジといえば、『日本人がコンピュータを作った!』(アスキー新書)を出しました。日本のオヤジたちのパワーの痛快さかげんが読める内容になっているので、オヤジの方はご覧アレ。

『iPad購入意向調査』(http://asciimw.jp/info/release/pdf/20100527.pdf
『MCS 2010』(http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
リュウド「Bubble Wrapper」発売元(http://www.reudo.co.jp/bubble_wrapper/index.html
『日本人がコンピュータを作った!』(http://research.ascii.jp/elem/000/000/047/47697/
『日本人がコンピュータを作った!』(AMAZON
遠藤諭 on Twitter(http://twitter.com/hortense667


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