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先日、夕刊フジのMさんからメールがあった。「iPad買いましたよね?」というものなのだが、「@knnkandaさんは入手していますね」と返したら、「じゃ見せてもらいに行きましょう」という話になった。Mさんとは、そのむかし神田敏晶さん主催の「セグウェイ」試乗会に一緒に参加したことがある。
@knnkandaさんにメールすると、今晩の「KNNなう」(神田さんが毎日やっているUstreamニュース番組の2010年4月6日22時~放送分)のときに来てくださいということだった。湯島天神から降りたあたりにあるキバンインターナショナルさんのスタジオに乗り込んでいくと、@knnkandaさんや@Awabowさんが準備中。
この日のゲストは、佐々木博氏(@hirosh)で、楽しい音楽ネタをいろいろ見せてくれていたのだが、後半の10分くらい私も飛び込みで出させてもらった。さて、そこで神田さんからいきなりふられたのが、
「これはコンピュータなんですか? エンドウさん」
という質問。これに対して、私はどう答えたかとういと「iPhoneはコンピュータだと最初から思っていました」(iPhoneが出たときApp Storeなんて話はなくて、アップルは5年先の携帯だと言ったけど「コンピュータに違いない」と記事にも書いた)ということだ。ところが、いま気づいたているのは、
「iPhoneというのは“物質”だった」
ということですと答えさせてもらった。ちょうど、「紙」みたいな物質。だからそのまま大きくして、iPadにして、違ったファンクションを担うことができる。
アップル(ジョブズ)は、人の悪口を言う傾向があるが、あまり傲慢なことは言わない。初代マックのときには、それを「知的な自転車」と呼んだり、「ボクたちみたいじゃない人たちのためのコンピュータ」と呼んだりした。ペプシコーラを、スーパーなどの小売りでシェアトップの座(誤解されがちだが世界のコーラ市場全体ではない=『コーラ戦争に勝った』参照)を奪いとったジョン・スカリーを招いたときには「一生、砂糖水を売るのか?」と言ったと言われていますね。
つまり、ジョブズは、コピーライターで、1行の言葉で人々を誘導する能力を持っている。なんだか毛沢東みたいな能力ではないかとすら言いたくなる。
iPadの発表の際には、ジョブズは「アップルは、リベラル・アーツとテクノロジーの交差するところに位置する会社だ」と言った。私は、iPadに込めた思いをうまく表現していると思う。リベラル・アーツというのは、「学問」や「芸術」全体のことといってよい。それから類推するのは、彼らがiPadに注力している気持ちの根底には、
「紙の終焉を見てみたい」
というモチベーションがあるからではないかと思う。学問も芸術も、紙なしにはやってこれなかったからだ。
iPhoneを出してみて、彼ら自身が使っていて、それが「物質」であることに気が付いた。未来の「紙」みたいなもんだったらどんなことができるのかを体現したのがiPad。それを、表立った言葉にはせずにシステムとして実現しているところが素晴らしい。
「iPadは大きいiPod touch」とか「iPadは大きなiPhone」とか言う意見がある。これは、もの凄く当たっているともいえるし、もの凄く的外れのような気もするのだ。いまiPadを使ってみて、なんてiPhoneが窮屈なことかと言っている人がいるが、手札判のメモ帳とA4のノートでどっちが使い勝手がよくていろんなことができるかといえば決まっている。
iPadは未来の紙なのだ。未来の紙は「HTML 5」がそれを約束しているように、動くし、インタラクティブである。というよりも、iPadは、現実の物理空間のものかと思うほどスムーズに描画する。未来の紙は、
「時空を超えるフレーム」
なのかもしれない。その意味では、いまiPadの上で行われていることは、将来やってくるであろうシステムの練習のようなことなのだ。たとえば、いま電子書籍のことが、出版界やIT系企業だけでなく政府まで大きなテーマにしてきている。たしかに、電子書籍を、アップルならアップルで買いそろえてしまうと、以降、ずっとアップルと付き合わなければならなくなる可能性がある。いま音楽で、iTunesで何も考えずに落としてくるとiPodでしか再生できないAACというデータフォーマットがたまっていき、iPod以外のプレイヤーに事実上移れなくなったりするような話だ。
はたして、本についてもそれでよいのかという議論はあるだろう。それでやむを得ないという意見もあっていい。しかし、SIMアンロックと同じでユーザーの利便というのなら端末フリーというものでしょう。あるべきは、どの電子書籍端末からでも買った本は読める1つの「ブック・キー」。出版社(または個人)が購入者に1つ発行。それがあれば、どの端末からでもダウンロードして読めるようにする。デジタルのプラットフォームだからこそ既存の電子書籍端末でもあとから導入できる。
しかし、問題は、「本」のことではなくて「紙」のことなのだ。まさにリベラル・アーツというものの新しいプラットフォームであって、それの直近のテーマが電子書籍ということなのですね。
東京カレーニュース
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