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昌平橋の秋葉原よりからお茶の水のほうに上がっていく途中に美篶堂という文房具(?)のお店がある。何度かその前を通って気になっていたのだが、先日、はじめて中に入ってみた。基本的に「紙」のお店なのだが、そこで買い入れてみたのが、『「印刷雑誌」とその時代―実況・印刷の近現代史』(中原雄太郎・松根格・平野武利、川畑直道・高岡重蔵 、高岡昌生著/刷学会出版部)である。その中に出てきたのが、1934年に掲載されている下の図版。こんな図をどうやって描いたかというクイズめいた文章になっている。どうやって描いたのかというと……。
1891年に創刊された『印刷雑誌』という名前のとおり印刷技術に関する専門誌があるのだが、これは、その90周年を記念して刊行されたものだという(『印刷雑誌』は2期に分かれており1918年の再創刊から)。800ページにおよぶ大著で、クイズめいた文章のような昔の記事も多数収録されていて、さながら印刷技術に関する大百科事典のような趣になっている。一応、出版の世界に身を置く私だが、活版印刷がちょうど終わりを告げる頃に、この世界に入ってきた。この本でもDTP(デスクトップパブリッシング)について触れているが、『月刊アスキー』でこれを特集した1987年11月号では、まだ「DTP」という表現はなく「DP」と書いていた(現在、インプレスの戸島デスクが担当)。グーテンベルグが、ぶどう絞り機をもとに印刷機を作ったといわれる15世紀から、いかに、この世界がテクノロジーと密接に関係してきたかも俯瞰できる。
さて、写真の図柄だが『「印刷雑誌」とその時代―実況・印刷の近現代史』から引用させていただく。「螺旋で描いたワシントンの肖像--本号の口絵は一寸奇妙でせう。これは御覧の通り、たった一本の線を、途中で少しもとぎれずに引いて行って描いたものです、丁度レコードの線のやうに」とある。で、これはどうやって描いたのかというと、まさにレコードように回転に合わせてぶら下げた万年筆のようなものが内周に移動するようになっている機械を使う。やり方は、まず大きな紙にワシントンの肖像の輪郭を鉛筆で描いてやる。そこで、5段階の大きさの小さな紙を用意する。いちばん明るいところには一番小さい紙を貼り、次に明るいところには次に小さい紙を貼り、5種類の紙を貼り重ねる。そこで、さっきの機械を回しては1番最後に入った大きい紙から順番に取っていく……のだそうだ。なんともドット絵師的なアプローチだったわけで、凸版の肖像画を描いていた人物が考案したものだそうな。
本といえば、『3日で作るPHPアプリケーション』(秦崇・遠藤諭著、アスキー刊)。私がPHPの講義を受けながら、見よう見まねでコーディングしたという内容の本。「とにかく動くサイトを作りたい」という強い思いがあって、いろいろ聞いていくと「動かすだけなら簡単だよ」と多くの人がいう。真面目な文法勉強本、サンプルコードが売りの本と、PHPの入門書はいろいろ出ていますが、その間を埋める本ともいえます。私のように「まず動いてから考える」というような気の短い人には、お勧めではないかと……。動くサイトを作るのも印刷のイノベーションの話のどこか連続上にあるような気もします。
美篶堂(http://www.misuzudo-b.com/)
刷学会出版部(http://www.japanprinter.co.jp/)
『3日で作るPHPアプリケーション』(http://www.ascii.co.jp/books/books/detail/978-4-7561-5106-3.shtml)
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