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私は、ガメラから逃げたことがある。
なんの話かというと、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(金子修介監督)の撮影小物の協力をアスキーがした。その関係なのか、宣伝部のOさんに東京駅八重洲口のあたりで撮影があるから見に行かないかと言われた。「だったら、エキストラでもなんでもいいから出してもらうだろう」という話の展開だったと思う。
誰もが一度はやってみたいと思う(?)怪獣から逃げまどう一般市民の役である。
1998年7月5日(日)の夕方近く、東京めたりっく通信のあったあたりの裏っ側の路地に、パトカーと100人ほどのエキストラが集まって撮影を待っている。関係者がラウドスピーカーでいろいろと説明している。雨という設定なので、まずは散水車がそろりそろりと路面を濡らしていく。それから、指示にしたがって何度も往復するように100人くらいの人たちが「ガメラだ~ぁ」とか叫びながら走るのである。
その大袈裟かげんといったら何だろう? ふだん生身の人間をあまり相手にすることの少ないパソコン屋としては、これだけの人間を動員して、これだけの時間と場所を消費して撮影する映画って凄いなと思った。その一方で、いかにも一般市民っぽいエキストラに混じって、なんと唐草模様の風呂敷を背負って走っていたりする。それから、ビデオカメラを持って撮影しながら走っている人もいる。どこまでマジなのか? パソコン業界の人間にはルールというものが飲み込めないまま時間が過ぎていった。
撮影と前後して、宣伝部のOさんが関係者と話をしていて私も名刺交換させてもらうと、
「ここを走ると映りますから」
と路上を指でさしながら説明された。
それは、伊集院光と蛍雪次郎のおふた方がもみあっているすぐヨコ通過してくださいという指示だった。
「あのビルの間にガメラが出てきている設定ですから」
などとも言われる。
それで東京駅のほうを見上げるのだが、ビルとビルの間にただ夕方近くの空がポカンとあるだけだ。それでも、私と、一緒にやってきたデザイナーのSくんは、ウンウンとうなづく。あの空間に、宇宙怪獣ガメラが現れるのだと気持ちを持っていくようにする。Oさん一家(旦那と子供含む)のほうは、エキストラはやらないそうで、もうカメラに映らないところに待避している。
ふだん、ほとんど運動していないから何回も走らされてヘトヘトである。結構、みんな真剣に走るのである。本当に転んでケガして血が出ている女性もいた(エキストラだと労災おりないですかね?)。そんなこんなで、ガメラから逃げまどう一般市民として、2時間ほどの撮影に付き合ったのだった。
ところが、割と映画を見るほうの私なのだが、その翌年公開された『ガメラ3』に関しては、なぜか見に行く機会を逸したままになっていた。香港の知り合いが、私がガメラ3で逃げまどう一般市民をやったという話を聞いて、「ええーっ!」とその場で立ち上がってうらやましがったそうだ。そんなこともあったが、TSUTAYAでDVDをレンタルすることもなく、ずっとそのままになっていた。
さて、ガメラの新作がやってくる。
『小さき勇者たち GAMERA(ガメラ)』(田﨑竜太監督)というやつで、社内メールで「角川グループ&出資社ファミリー特別試写会のご案内」なんてお知らせが届いていて、前作のときの撮影のことを思い出したのだった。それから、スカパーで「小さき勇者たち GAMERA(ガメラ)公開記念 24時間まるごとガメラシリーズ全11作品 完全放送!」なんてのをやっている。それで、「見ようかな」と思っていたら、私のコクーンに『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』がシッカリと録れていた。
問題のシーンは、映画がクライマックスを迎えようというあたりで出てくる。雨が、ちょっとやんだ雰囲気のところで、伊集院光演ずる警察官が、蛍雪次郎演ずる大迫を逮捕するシーン。そこに、駅の方向で格闘するガメラとイリスが見えて、逃げまどう一般市民がどわ~っと走ってくる。
コクーンを早送りしながら「このあたりかな」と思ってみていると、本当に一瞬、「あれ?」という感じで出てくる。スロー再生してみると、たしかに「ここを走ると映りますから」と言われたところを、コウモリ傘を片手に駆け抜ける私が映っている。あたり前なんだけど、
「ああ、あの日はあのアロハ着てたんだな」
とか、
「あの腕の太さは、いまよりだいぶ体重があったんだね」
とか、
「なんで、オレって逃げるのに笑いながら走ってんだ?」
とか、なんとも感慨深いものがある。
ところで、何度も見ていると、実は、そのすぐ後のシーンでもまた一瞬ヨコを通過する私が映っている! またまたしらじらしく、カメラのほうに向かって「わぁ~っ」と叫ぶ感じで走っている。
よく考えると、コレは大変に不思議な現象である。伊集院さんのヨコを「ガメラだ~ぁ」て感じで走って逃げる姿が1度映っているのだから、また同じ人物が同じところを「わぁ~っ」って感じで走り去るというのはどういう意味か? その人物(つまり、逃げまどう一般市民のわたし)は、1回走って逃げたところを、また戻って同じところを逃げていることになる!
いくらなんでも、あの状況で行ったりきたりしないのではないか? あるいは、同じアロハを着たソックリさんが2人続けて逃げてきたということなのか?
ちなみに、このシーンは、東京駅の近くで撮影したと書いたけど、映画の中では京都駅付近ということで出てくる。実は、ちゃんとパトカーも京都のナンバーに付け替えられていたのだ。私は、バッチリ2回も出てきたが(といってもスロー再生しないと気が付かない範囲なのだが)、唐草模様の風呂敷かついだオッサンも、ビデオカメラを持ちながら走っていたお兄さんも、その日付き合ってくれたデザイナーのSくんも映っていないかった。
ところで、『ガメラ3』ってなかなかいい映画なのですねぇ。
新作もお勧めらしいけど、お時間のある方は、こちらもいかが?
※秋葉原でここを知らない人はモグリの「炭火珈琲庵 古炉奈」(電波会館2F)。1年に1回くらい、ここのフツーなカレーを食べてしまう。私と仕事したり夕刊フジとかやっているMさんは、ギャル時代、ここのバイトをやっていたことがあるそうだ。なんだか秋葉原のメイドの元祖みたいな錯覚におそわれる。古炉奈のヒミツはなんでも知っている?
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