コデラノブログ 3

潰れる会社の空気

年末にふさわしい話題なのかどうかわからないが、夜逃げや倒産の話題がぽつぽつと聞こえてきている。僕もフリーランスになって10余年、ものすごくたくさんの会社と付き合ってきたわけだが、過去つきあいのあった会社の倒産を目の当たりにしたことは何度もある。何せバブル後の大不況をフリーランスで経験したのだから。

こういうことを繰り返していると、なんとなく倒産する会社の雰囲気というのがわかるようになる。会社側がいくら外部に隠そうとしても、わかってしまうのだ。

やばい会社というのは、まずいつも行く雰囲気に比べて、なんとなく上の空というか、浮ついた感じが出てくる。次に、普段見たことのない背広を着た若手が、現場をうろうろし始める。彼らは銀行から出向してきた人間で、業務のてこ入れというよりも、事業として芽がなさそうかをチェックしに来ている。

社員に比べてフリーランスは時たましか行かないので、そのあたりの雰囲気を敏感に察知して、早めに手を引く必要がある。倒産するときは、予告もなく一気に来るものである。

年の瀬になると思い出すのは、あるマンション編集室の倒産だ。12月25日の支払日にギャラが振り込まれず、いくら電話しても貸事務所のおばちゃんが「社長は外出中なので折り返し連絡します」という具合にらちがあかない。27日ぐらいに編集室に行ったら、社員編集マンにも給料が支払われず、社長はどこにいったのかわからないという。

これはやばいと思い、そこから会社宛に電話。電話はすべて貸事務所に転送されているので、相変わらず貸事務所のおばちゃんが同じことを繰り返す。

「何言ってるんですか、オレはその会社で働いてる者です。社長が金持って逃げた。このまま連絡取れないと、あんたたちも取りっぱぐれますよ!」

というと、さすがに貸事務所のおばちゃんもやばいと思ったのか、速攻で社長の携帯に繋いでくれた。こうして年の暮れにようやく社長をとっ捕まえて、振り込みさせたのを今もよく覚えている。今考えればずいぶん無茶だったが、まあビデオ業界というのは、社長が夜逃げ同然に逃げるのはよくある話だったのである。

出版社が潰れたのも、2件遭遇した。そこも直接乗り込んで、その場で社長から現金でギャラを払ってもらった。

これから初めてそういう修羅場を迎える人は不安だと思うが、あきらめないで考え得る方法を全部やったほうがいい。派遣も社員もアルバイトも、もらえるべきものがもらえないというのは、経営者の責任なのである。

会社を思いやって、自分が我慢すれば、と思う人もあるかもしれない。でもその我慢は、結果的に誰もありがたいとも思わない。会社が倒産するというのは、そういうことなのである。

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