コデラノブログ 3

日本映像ソフト協会が香ばしすぎる

社団法人日本映像ソフト協会(JVA)が、デジコン委員会に意見書を提出デジコン委員会に意見書を提出したそうである。で、このニュースリリースに記されている意見書のリンクがものの見事にリンク切れになっていて、そのあたりがいかにもJVAらしい香ばしさを醸し出している。

ご記憶かもしれないが、過去JVAは、たとえタイムシフトだろうが、放送からの私的録画によって直接的な売り上げ減の有無にかかわらず、補償金が必要というリリースを出して、世の中を(゚Д゚)ハァ? のどん底にたたき込んだ。

で、テレビを録画しても直接的な売り上げ減がないという事実は、自分とこの調査で出ている。「DVDユーザー調査 2007」のP.6には、新品DVDソフト購入数減少理由というグラフがあるが、ポイントが2カ所ある。1つ目は 「TVでの放映やそれを一時的に録画して見る機会が増えた」の部分、2つめは「TVでの放映を保存用に録画することが増えた」の部分である。この2つを合わせても、トップの理由である「自分の欲しいものがない」には届かない。

日本映像ソフト協会というのは、基本的にDVD発売元が集まったところである。つまり自分たちの努力が足りないからDVDが売れないという結果が出ているわけだが、そこはスルーしてお金くれるんならちょうだい、というのは、いくらなんでもムシが良すぎる話ではないだろうか。

さて話を戻して、今回の意見書である。元ソースが見られないわけだが、AV Watchに概要が出ている。元ソースが公開されればまたそれを元にして書き直すことにして、記事によれば、「コピーワンス緩和がダビング10としてすでに実現されながら、2008年の第5次答申においても、対価の還元の具体案が示されていないことを不服」とある。

しかしこれは時系列で考えればもうむちゃくちゃな話で、ダビング10は本来6月2日に始まるはずだったが、補償の問題が決着せず延期されていた。開始の芽が見えてきたのは、ブルーレイを補償金の対象にすることで文科省と経産省が合意した6月17日である。

こうしてダビング10がようやくスタートしたのが7月4日。第5次中間答申が出されたのは、6月27日である。ブルーレイの合意から答申発表まで10日しかない。まだ始まっていない、いつやるかも怪しいものに対する補償が、答申に入っていないのはおかしいというのは、もうこっちが日本語として何を書いているのかわからなくなるほどおかしな話である。

さらに記事によれば、「具体策の検討にあたり、HDDの大容量化やホームサーバー化、アナログ出力からの複製に関する著作権保護技術」にも触れられている。これは大変なことで、HDDに補償金は当たり前、そうなれば「NASに映像を入れてるよね、はい補償金」の世界が実現する。つまり録画機能を備えている、いないに関わらず、HDD製品に課金するという話で、これは05年頃に起こった「iPodからも金を取れ」時代までもう一回議論を戻せ、と言っていることになる。

またアナログ出力の制限にも触れている。これは、現在のダビング10ルールでは、アナログ出力にはコピー制御しなくてもいい、というルールに反対するものだろう。現状ハイビジョン解像度のアナログ出力をキャプチャできるボードや製品はそれほど多くない。いくらコピーフリーになるからといっても、アナログで録るというのは時代に合わないことは、誰でもわかっていることだ。

しかも、そうまでしてアナログ経由でBlu-rayなどを焼いても、レコーダ自身はネバーコピーフラグで録るはずである。すまん、それはやったことないので当時の資料をひっくり返して読んだだけだが、たぶんそうなるはずだ。そうまでして執拗に制限をかけたって、技術的コストがかさむだけで、全然複製の制御にはならない。

最後に、「バグを放置した機器の販売を禁止するなど、著作権保護技術の実効性を確保する制度的エンフォースメントを強く要望する」としているが、これはエスケイネットの「MonsterTV HDUS」を指すものだろう。

MonsterTV HDUSはすでに自主的に出荷停止としているが、流通在庫が大量にあったため、解除テク発覚後1週間ぐらいは販売が続けられた。制度的エンフォースメントの意味するところは、これを法規制で流通も止められるようにしろ、ということである。CATVの違法受信チューナーみたいな取り締まりができるようにする、と言えばわかりやすいかもしれない。

しかしデジコン委員会の議論では、制度的エンフォースメントへの移行は、技術的エンフォースメント、つまりB-CASと引き替えということで進んでいる。

B-CASの幕引きとして、制度的エンフォースメントにあとを譲るという形で自主的に退場するか、それともMonsterTV HDUSを市場から排除した実行力があったとして独禁法で違法とされるかは、大きな違いだ。

日本映像ソフト協会のこの意見書は、制度的エンフォースメントの必然性をMonsterTV HDUSに関係があると臭わせたことで、B-CASの独禁法違反議論をデジコン委員会にまで持ち込むことになる。本人たちが予想しなかったレベルで実はもんのすごい爆弾を投げたに等しいと思う。これはやっちまっただろう、どう考えても。

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