コデラノブログ 3

2008年01月 の記事

テレビ番組を、本当にネットで見たいか

先のデジコン委員会で思ったことの続き。

冒頭中村伊知哉氏の発表にもあったことだが、果たしてテレビ番組をネットで有償で見るという市場が成立するのか、という疑問に対しては、考えていく必要があるように思う。それは、今の無料放送のうち、金を払ってみたいものがどれだけあるのか、という疑問でもあるだろう。

現状テレビ番組の権利の持ち方は、徐々に変わってきている。アニメはネットでも人気の高いコンテンツの1つだが、これらは徐々に映画のような制作委員会制度に変わってきて、権利を委員会、まあ有り体に言えば複数のスポンサー集団が持つようになった。つまりテレビ局からの制作費を当てにしないことで、権利的にも独立した状態が作れるわけである。

これらの方式で制作されたアニメーションは、フィニッシュをテレビだと考えていない。むしろ無償で放送するテレビはプロモーションだと考えて、その後セルDVDやレンタル、キャラクター商品、書籍化、映画化など、マルチメディア展開を想定した大きなビジネス枠で考えるようになってきている。これらのものは、ネットの動画配信サービスに載せるのは、比較的簡単で、逆にテレビ局の縛りなしに行なうことができる。

一方旧来のテレビ局資本で制作された番組は、ニュース、バラエティ、ドラマなどがある。これらのうち、純粋にテレビ局が著作権の全部を保有するのは、ニュースだけである。しかしニュース取材の場合は、一般人も多く写ってしまうし、芸能人であっても出演契約して出演料などを払っているわけではない。報道とは無償で撮って行くものである。したがって肖像権を主張されるリスクを考えれば、放送以外のところに、しかも有償で出すことは難しいと思う。

肖像権について少し触れておくと、日本には肖像権を明確に規定した法律はない。ただ民事の中で、損倍賠償や差し止め請求が認められた判例が多くあり、事実上はそういう権利が存在することになっている。

しかしニュース番組を、ネットで有償で見たいという人はいないのではないだろうか。そう言うものは、速報性の強く、出した先から消えていく放送というメディアの特性が生きる分野である。

バラエティはどうか。日テレなどは積極的にバラエティ番組のネット配信をトライしているが、思うように業績は上がっていないようだ。思うにバラエティとは、意識せずにダラダラと見るものであって、能動的に見るものではないのかもしれない。しかし昨今はお笑いブームであり、M1グランプリのような年に1度の祭典のような特番は、ネットでも価値が高いように思われる。ただそれも旬があって、放送後1週間程度が賞味期限ではないか。

というのも、お笑い番組の楽しみ方は、一人で見て笑えるということのほかに、周りの人と話題にして楽しむという、二次的な楽しみの要素も少なくないからである。

ドラマに関しては、すでに米国で成功例がある。これは話が数週間にわたって連続するために、途中から参加できない、あるいは途中が抜けるとわからなくなる、といった継続性を持っている。コンテンツの需要は、基本的には飢餓感であるということを考えれば、ストーリー性というよりも、要するに長い話ば分断されているというところにポイントがあるように思う。

番組の間にCMを入れても続けてみてくれるのも、基本的にはこの連続性が分断されることによる不快感解消という側面が強いのだろう。

そう考えると、ドラマ以外のジャンルでも、このドラマメソッドを取り入れれば、飢餓感を生み出すことができるのではないかと思われる。ただそのような需要は、本物の需要だろうか。コンテンツに価値を見いだしたのではなく、単に生理的に気持ち悪いから、というだけのことではないか。

そう考えると、もしかしたらテレビ局が版権を持つコンテンツというのは、有償で見るというモチベーションを持ち得ないのかもしれない。そもそも見応えのある、一度見たらまた1回目から見たくなるようなコンテンツというのは、テレビの中にはそうそうあるものではない。むしろもう一度みたいという需要は、今放送にはとてもかからないような、古い番組のほうが価値が高いのかもしれない。

今の番組よりも、過去の番組の方が、ネットでは価値が高い可能性がある。しかし昔のコンテンツは権利処理がますます難しいので、表に出せない。多分こういうものは、特別法などで頭ごなしに権利代金を一律にしてしまってプールしておき、リリース後に申告があった場合に一定額を支払う、といった方法論しか、前に進む道はないのではないか。

ネット流通に対するスタンス

本日はデジコン委員会の傍聴に言ってきた。AV Watchにも記事が出ているが、ネットを使ったコンテンツビジネスに関して放送局側の言い分はというと、ネットの違法アップロードが駆逐されない限り、危なくってやれるか、というニュアンスを強く感じた。それよりも、既存のインフラである放送やDVD販売といった形態と、ネットビジネスが競合するならば、やるメリットはない、ということである。

一方通信インフラ側は、積極的にネットによるコンテンツビジネスを促進していきたいが、著作権処理のリスクが大きいという。権利者側は、権利をクリアするのがリスクだという意識では、そもそも流通は無理なんじゃないか、と言う。

アジア圏ではP2Pによる映像交換が盛んで、アニメ販売市場が崩壊してしまっているという。いやだからこそ、同じ土俵で正規のネットビジネスを立ち上げなければならないと思うのだが、彼らは違法P2Pが蔓延した米国で成功したiTunes Storeの論理を、無視するのだろうか。

それぞれの言い分を今回ナマの場で初めて聞いたが、結局のところ、それぞれのリスクを、法や制度などで国が負担して欲しいという、他力本願型の図式が透けて見える。

そうなるとやっぱり映像の世界でも、iTunesのような外圧で一撃に市場をかっさらうビジネスモデルが出てきて、あーだこーだ言っている間に国内コンテンツ流通産業が全部持って行かれるという予感がする。Appleは、リスクを全部自腹で払っている分の、強みがある。

この市場崩壊の状況で思い出すのが、70年代のパンクムーブメントである。イギリスを中心に起こった労働者階級の崩壊が招いた破れかぶれのムーブメントは、強力なパワーで世界を席巻した。それに反発する形でテクノが勃興し、それらのミクスチャとしてそれ以降80年代から90年代前半を支配するニューウェーブの下地を築きあげた。

アジア圏のコンテンツ市場崩壊は、何か新しいムーブメントを生み出すのだろうか。やりっぱなし、やられっぱなしではなく何かを生み出すのは、組織でも権力者でもなく、常に民衆の仕事であったことを考えてみると、その萌芽を注意深く探す必要がありそうだ。

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AppleK

メインマシンをVistaに移行して依頼、キーボードはずっとLogicoolのdiNovo Edgeを使ってきた。これは正直認めたくはないが、僕にとっては最高のキーボードである。本当の最高のキーボードはもっとこう、レアでなかなか手に入らないものであって欲しいという思いが根底にはあるのだが、このタッチは素晴らしい。

しかし真のNo.1はというと厳密には不在で、東プレの「キャパシティブ・コンパクトキーボード」が一応この場に位置するのだが、あいにくJISキーボードしかないのを欠点としている。筆者は英語キーに慣れているため、JISキーボードだとEnterキーの位置がずれるのである。

たまには気分を変えてみようと思い、以前使っていたAppleの標準キーボードを使ってみたくなった。キーアサインの違いは、AppleK Proというソフトで吸収できる。

以前から案内は来ていたのだが、AppleK ProもVista版がリリースされていた。Ver2.44以前のユーザーはアップグレード料金がかかるので、ずっと保留してきたのだが、まあカード決済で1,834円だというので、アップグレードした。

文章を書くということは、このキーボードから覚えたこともあって、懐かしい感触が指先から伝わってくる。そして指先の感覚から、いわゆるパソコン通信なるものを始めた時期の事を思い出す。

あの当時を懐かしく思い出すことは、希である。なぜならば、個人的な生活という面ではバブル崩壊の余波を食らって、かなり気持ちが荒んだ時期であったために、自分から懐かしく思い出すというまでには、まだ心の整理がうまくできていないままだからである。昔住んでいた場所を懐かしく訪ねたいという気持ちにも、未だになれないでいる。もう10数年、足を踏み入れていない。

結婚して新居を構えた場所がそこだったので、僕の本籍はそこの住所になっている。さすがに本籍地まで行かなければ揃わない書類というのはないので、そのまま近づかずに済んでいる。

なんだか文章をつづっている間に、いろいろなことが思い出されてきた。今夜は妻と昔語りでもするとしよう。

デジタル技術の基本的な相違

放送のバックボーンに関しては、ちょうど筆者は技術者として一番油が乗っていた時に、アナログからデジタルへの変革を迎えたことになる。85年から90年にかけて、多くのアナログ装置がデジタルの恩恵を受けるようになった。

放送設備というのは、基本的にはアナログ装置のデジタル置き換えという発想で進んできた。ダビング特性や転送時劣化といった問題をクリアできるということから、始まったのだ。

そういう方向で進化したデジタル技術は、双方向という考え方が希薄だ。通信のように、双方向が繋がったことが確認されてから内容を送るようなことはしない。端っこが外れていても、どんどこ送られてくる。

しかしそれだから、パッチベイなどでブスッと繋がった瞬間に絵や音が出る。アナログの使い勝手そのものだ。

今皆さんの身の回りにあるデジタル機器は、放送技術から派生したものと、通信技術から派生したものが混在している。PC関係のものは、通信から派生したものが多いはずだ。例えばUSBやSATAなどは、お互いが繋がる前からデータをまき散らしたりしない。ネットワークケーブルなども、もちろんそうだ。

一方でi.LINKやHDMIなどは、放送流の技術であろう。途中で引っこ抜いたり差し直したりしても、エラーするわけでもなく、何事もなかったように映像が流れつつける。

放送というのは、デジタルになってもアナログ流の発想からは逃れられていない。実時間かけて転送などというのは、通信的な発想で言えば、非効率であるのだが、そういう意識が持てないのである。

例えば今の地上波では、SD画質の放送ならば1局で3チャンネル分の伝送ができる。実時間をベースに置いているから3チャンネルとなるが、通信的な発想を取り込めば、1つの番組を1/3の時間で伝送できるはずである。

蓄積型放送は結局うまくいかなかったが、これは実時間伝送をベースに考えていた発想の限界もあったのではないだろうか。大局的に見れば、1時間の間に、1時間番組が3本送れるということは変わりないが、1/3時間で順次送るということは、チューナーが1系統で済むということである。一方3chパラで送られてきたら、それを全部受け止めるのに3チューナー必要になるし、コストの関係で1チューナーしか搭載できなかったら、残り2chはあきらめることになる。

こう書くと、3倍速ではリアルタイムで見られないとかいう人が必ず現われるものだが、もっとやわらかい頭で考えてみよう。

デジタル放送というからには、こういった放送スタイルもあっていいのではないだろうか。時間的な非同期放送である。録画を前提とした放送サービスモデルが、初めて誕生することになるのだ。

そうなれば、電波というインフラの特性をもっとストイックに考えることができるはずだ。

全ファイルアップ完了

ダビング10シンポジウム、全ファイルを今日アップロードまで完了した。

前回までは、YouTube用にH.264でマスターファイルを作り、それを双方オンライン変換エンジン頼みでアップロードしていた。YouYubeはH.264対応になったので、それほど劣化はないが、ニコニコのオンライン変換エンジンは画質が悪い。

今回は文字ファイルが多いので、今回ニコニコ動画用には別途FLVファイルを作った。従来よりは画質が上がっていると思う。まだちょっとガタガタした感じが残るが、ノウハウが溜まれば、もう少し最適化できるかもしれない。

個人的にはニコニコのほうがコメントによるリアクションがあるので、楽しみだ。コメントは日に一度はチェックしている。なかなか長いコメントは付けにくいと思うが、乙とか言って貰えるだけで、僕としては大きな励みになるのだ。クリエイティビティとは基本的に、そういうところに支えられているものである。

今のところこちらからリリースするのは両サービスのみだが、この動画ファイルはCCなので、ダウンロードしてどこか別の場所に転載して貰っても構わない。あるいは誰かVideo Podcastとかに変換してiTunes Storeに上げてくれてもいい。なるべく多くの方に見て貰えるよう、各自できることをやっていただければと思う。

ぜえぜえ言いながら

YouTubeとニコ動に、前回のダビング10シンポジウムの講演部分だけはなんとか上げた。

ニコ動
http://www.nicovideo.jp/mylist/4612202

YouTube
http://jp.youtube.com/view_play_list?p=82CAB4B344C144F7

MIAUのオフィシャルサイトでも告知されると思うが、今中の人が居ないみたいなので、こっちで先に告知しておく。

パネルディスカッションの編集は、これからやる。眠いー。

シンポジウム、無事終了

昨日、第1回ダビング10シンポジウムが無事終了した。実は2日前の集計では、参加希望者が20名程度だったので軽く心が折れそうだったが、いざ蓋を開けてみれば会場後方までほぼ満席で、ありがたい限りである。

今回さらに、ホール音響ができるMIAU協力会員がイベントに参加してくれたおかげで、いつものuStream中継以外に、京都のNPOインターネットラジオ「fm GIG」でも生放送として出すことができた。なにせMIAUのメンバー、PCから先にはやたら詳しいのだが、PCに行くまでの物理物とかアナログ物とかに大変弱い人達なので、こういう技を持ったスタッフは大変助かる。

沢山お金を持っていらっしゃる権利者団体様のイベントと違って、机に白いテーブルクロスすらかけられないという手作り感あふれまくりのシンポジウムではあるが、メンバーもシンポジウムの段取りに慣れてきて、自分から的確な配置で動いてくれる。多くはバーチャル活動が多いMIAUだが、実活動もだんだん板に付いてきた感じである。

シンポジウムの模様は、例によってYouTubeとニコ動にアップするつもりだが、そんなすぐにアップできるとか約束できないです池田先生。ハイビジョンカメラ3台パラ回しの2時間素材、そうそう簡単に編集できるもんじゃないです。撮影段取りから編集まで、全部オレ一人でやってますんで。

というわけで、なんとか今週末に作業ができればいいなぁという希望的観測の元に、こんなエントリを書いている次第である。

ダビング10シンポジウム、間もなく

CES取材から無事帰国。さっそくダビング10シンポジウムの進行を始めないと。

渡米中は日本の状況を全然押さえていなかったのだが、MIAUではシンポジウムに先駆けてアンケートを実施しているのをご存じだろうか。たぶんどの調査会社もやったことがない項目も含まれていると思うので、貴重な資料となるはずである。沢山のご意見をふまえてディスカッションしていきたいと思っているので、ぜひご協力をお願いしたい。

MIAUのオフィシャルサイトから入ってください。

よろしくお願いいたします。

小寺信良、旅慣れる

明日からCES取材のため、渡米する。そんなわけで、今日は荷造りである。

一通り詰め終わってみると、トランクの半分が空いている。2~3年前まではあまり旅慣れないせいか、というかよそでいつもと同じように仕事ができるか心配で、不便がないようにあれこれ小物を沢山持っていったものだ。

しかしもうCES取材も6年目である。持っていっても結局使わないネ、というものをどんどこ外していったら、荷物が半分になっちゃったようだ。帰りはおみやげやら資料やらを持って帰るので、半分ぐらい空いてた方がいいだろう。

オレも旅慣れてきたネ。

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