2011年01月 の記事
2011年01月28日 09時50分 [ 市場 ]
メーカー名かブランド名か
![]()
川崎市幸区の東芝科学館。すぐ近くに多摩川がありその先は東京都大田区
![]()
特別展示
川崎にある東芝科学館で、東芝科学館50周年特別記念企画展「-東芝ノートPC25周年-“できない”から“できる”へ変わった ~未来へ進化し続ける東芝ノートPC~」が開催されている。
T1100やJ-3100から最新の機種まで様々な機種が展示されているこの企画展、ちょっと気になることがあって行ってきた。気になることとは天板の記載。日本の東芝製ノートPCにはご存知の通り「dynabook」「Qosmio」などノートPCのブランド名が書かれている。
![]()
日本は御馴染みdynabook表記。
ところが外国の東芝製ノートPCの天板には知っている限り「TOSHIBA」と書かれたものばかりだ。
ベトナムのカタログ
![]()
![]()
中国のカタログ
![]()
![]()
案内してくれた現地係員さんに尋ねると、「アラン・ケイ氏との関係でDynabookの文字は出せない」というのが理由なのだが(結果的に日本で”Dynabook”を使用、日本以外全部不使用というのもアレだが)、とはいえ企業名「TOSHIBA」でなくブランド名「Portege」「Satelite」「TECRA」と書かれた天板があってもいいんではないかと思うのだが
レアではあるが、ブランド名を小さく書いた製品もある。気になって富士通の中国向け製品を見てみると、メーカー名とブランド名を併記。
![]()
日本では誰もが耳にしたことがある企業も、外国では知らない人が結構いるわけで、企業名を見やすい場所に刻み込むというのが大事なのかも。ジアのPC市場で「東芝」はそれなりのブランドではあるが、「Portege」「Satelite」「TECRA」のブランド名はそんなに浸透してない、というかそれよりも企業名をアピールするのが先だよなあと思ったり。日本国内のユーザーのように「Let'sNoteユーザーかあ。で、W?R?」みたいな会話なんて聞いたこともないわけで。
東芝科学館での展示は明日29日(土)まで。つまり明日、最終日。
2011年01月21日 11時08分 [ サービス ] [ ニュース ] [ 中国的製品 ]
日本通信の世界初050モバイルIPフォンは海外勤務族に必須!
日本通信は、世界初となる携帯網上の050モバイルIPフォンを発表した。で、これが個人的ユーザー視点でかなりすんごいものだと思っている。(プレスリリース ASCII.jp 紹介記事)
ざっくりと特徴を紹介すると
■NTTドコモの携帯網で、050電話番号が使える
■Android搭載スマートフォンを利用(中国の華為(Huawei製))
■基本通話料も通話料も大手キャリアの半額
■海外だろうと無線LANが使える環境なら同じ番号が同じ値段で利用可能(これ大事!)
となっている。
日本通信いわく、「月額換算2,128円のデータ通信とモバイルIPフォン基本料490円の合わせて2,618円、これに通話超過料を支払っても、月額およそ3,000円でスマートフォンが持てるようになります。まさに「軽自動車型スマートフォン」の誕生です。」」。これスゴくない?個人的にはもう名刺も既存の番号も捨てて乗り換える気マンマン。
このサービスで利用する華為のスマートフォンは「IDEOS」なる製品。中国の華為にはIDEOS S7という機種が紹介されているが、中国の大手ポータルサイトを見ると、IDEOS Xシリーズというのもあるようだ。
![]()
![]()
華為は世界クラスの企業なので、「TD-SCDMA」といったチャイナスタンダード(のひとつ)はさておき、しっかり「WCDMA」と「GSM」に対応しているという。ということでは、旅先で現地のSIMカードを挿して利用できるのはまず間違いない(あの日本通信がSIMロックをかけるとは考えづらい)。
ただおそらくこれ、W-CDMAとGSMに対応とはいえ、SIMカードを挿す場所が2箇所でなく、すなわちデュアルスロットではないのではと思われる。これで日本のSIMカードと海外出張・旅行・留学先のSIMカードの2枚挿しが出来れば感涙ものなんだが。華為さん、出して。でもって日本通信さん、採用して。
2011年01月20日 00時30分 [ 中国以外の話 ]
セブンイレブンからもはじまるタイの通販
![]()
タイで日本人旅行者が多いこと、それに長期滞在者が多いのは、タイの立地もさることながら、その居心地のよさにある(バンコクにいる日本人は仕事も含めて上海にいる日本人の3分の2程度いるといえば、どれだけ多いかわかるかと)。暑さを補ってなお居心地がいい理由のひとつはコンビニ、というかセブンイレブンの存在だと断言する。バンコクの繁華街にも地方都市の駅前にも国境を抜けた先にもそれは要所要所にあって、日本人は安堵の場所を見つける度にほっとする。
店の中もまさに日本のそれに準じていて、雑誌もジュースも日用品も肉まんもチンして暖める弁当もそこにある。雑誌コーナーには必ずといっていいほど10バーツ(約28円)の通販雑誌「セブンカタログ(7-Catalog)」が置かれている。これが実はタイにおいて、インターネットショッピングとならぶメジャーな通販となっている。
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
こんな感じで化粧品や日用品など女性向け商品を中心に、全うなガジェットから、WiiもどきiPhoneもどきまでさまざまなモノが扱われている。セブンカタログにはWEBサイトもあるので興味がある人はチェック。
セブンカタログ(WEBサイト)
JETROレポート
タイにおけるインターネット市場と日本のファッション製品伝統産品の輸出可能性に関する市場調査(2010年3月)
によれば、タイの人口6338万人のうち、インターネット利用者は1342万人。そのうちの僅か26万人がオンラインショッピングサイトを利用していてオンラインショッピングの(民間向け)市場規模は2008年の時点で2400億バーツ(約6700億円)。一方セブンショッピングなどのカタログショッピング市場規模は2008年の時点で15億バーツ(約42億円)。
というわけで無料で有用な上記JETROのタイレポートを読んで、中国脳のリフレッシュをしてみるのもオツ。
2011年01月18日 00時00分 [ 中国以外の話 ]
世界で若い旅行者が減っている
![]()
タイのバックパッカーの聖地「カオサン通り」。撮ったのが朝なので人通りが少ない。
![]()
バンコクの長距離列車の中心駅、ファランポーン駅
タイの首都バンコクにあるカオサン通りは世界中のバックパッカー、昔で言うところのヒッピーが集まる場所だ。日本人は10年前の「電波少年」の影響力があり、かつては西洋人一括り(アメリカ人・オーストラリア人・イスラエル人・イギリス人・フランス人・ドイツ人)と勝負できるほど一大勢力だった。
![]()
![]()
タイの旅行者向けショップ。日本人が如何に多かった(過去形)かが垣間見れる
ところが若い世代はめっきり減った。貧乏旅行ですら「外国へ行く金がない」わけでこれは皮肉でもなんでもなく、本気でお金が無い中で外国に貧乏旅行に出て、1日数百円としっかり決めて、それ以上贅沢をしない修行僧のような大学生バックパッカーを見聞きするようになった。(個人的にはマイレージを日々貯めればある程度解決できると思うのだが)
「外国へ行く金がない」と言っているのは日本人だけでなく、そのカオサン通りにしてもバンコク駅(ファランポーン駅)にしても、会うバックパッカーは中高年だけ。10年前には20代を普通に見たのに、「ランボー4?」と言いたくなるほど若々しい西洋人の中高年ばかりしか見なくなった。数年前にはここまでオジサンオバサンだらけでもなかったし、僅か数年の間にこうも変わったのかと不思議に思った。
![]()
中高年のヒッピーばかり。ある程度意図的に撮ったがこうした光景ばかりが目につく
若い人が絶滅してそうな雰囲気を疑問に思い、近くに落ち着いている西洋人がいるたびに聞いてみれば「金融危機で仕事がないんだよ」と口々に応える。10年前、20代の西洋人バックパッカーと話したときは「帰ったら帰ったでどうにかなるよ、HAHA」とか「仕事辞めて遊んでまた仕事するよ」とか言っていたが、そうも言ってられないのかもしれない。若い世代の人を見たとしても、そもそも本国から脱出し、アジアに安く住み着いている人だったり。
減少する日本人に反比例して韓国人が増えた。特に女性が増えた。日本人と間違えて声をかけたら韓国人だった人と「いやぁ日本人は金ないし、世界を知るにはネットで十分。無理して危険を冒しに行くなんてという人はいるし」と言えば「韓国のネチズンもそう!」と同意。そういえば日本人もだが、女性の旅行客はちらほら見かけた。
個人旅行客が集まるところにはいないけど、ショッピングセンターや著名観光地で見かけるのが中国人・インド人・それに中東系。タイに限らず、中国の奥地の観光地でも中東系は増えてきた。
旅行という一側面でみても、先進国がどこも似通った状況であり、これから伸びる途上国は別の意味でどこも似通った状況のようである。
2011年01月14日 00時30分 [ 筆者自身のこと ]
チャイナウォッチャーになるのにお勧めの都市
中国国内の政治・雇用情勢から「チャイナ+1」という言葉が言われつつあるが、日経電子版中国語版が年央にも出るという話だし、モノ書き的にも中国との情報連鎖は密になりそう。
チャイナウォッチャーさんも増えてきて、各人の書くジャンルが細分化されていく中で、おそらく「私も中国のことウォッチしてみよう!」と思う人はいるのではないだろうか。個人的に中国でモノ書きするならこの場所で書くと拾ってくれるんじゃないか、を書いてみる。
ちなみに商業都市上海と政治都市北京は抜いてる。なぜかというと既に名があるプロのモノ書きさんが多数いるため、そこに割ってはいるのは現実的にかなり厳しし、時間を要するため。(あなたが編集者だとして有名なジャーナリストA氏と、1年目のジャーナリストB氏、どちらに記事を書かせる?)
1.杭州
オンラインショッピングサイトの雄「アリババ」の本拠地(難しく書いた。簡単にいえば中国で圧倒的シェアのショッピングサイト「TAOBAO」の大本営)で、役所的にもオンラインショッピングを推進し、中小企業に積極的に働きかけている。オンラインショッピングの明日が見える。
また杭州が省都の浙江省には、地上げや穀物転売で知られる中国のユダヤ人在住地こと「温州」や、中国中の100円ショップ的商品が集う超巨大市場「義烏」がある。
市場ウォッチする意味でも、上海・北京に続く第2グループの都市なので魅力有り。上海に行こうとすれば高速鉄道ですぐ。
2.広州
労働環境が変わる中で、世界の工場の広東省がどう変わるかという意味で注目。広東省のモノ作りの現場や市場、モノ作り的日系企業の苦悩が見え、出稼ぎ労働者が集結するという意味で中国農村部の明日が垣間見える(参考記事:iPad人気の影響!? Foxconnで自殺者続出の理由)。さらにアフリカからも多数人が流入中。
広い視点でチャイナ+1を考えると、広州+香港(広州からスグ)に格安航空券が多数あり、東南アジア各国に安く素早く移動できるのが魅力。広州と比較すると上海北京は意外と航空券は高くつく。
中国生活にストレスが溜まったら、香港に脱出し気分転換できるのも魅力。
3.成都
とりあえず内陸、な人には内陸を代表する都市成都。内陸と言えば成都という印象を持つ中国ビジネスに携わる人も多く、成都の最新情報というと読者にインパクトを与えやすい。
内陸市場を知るもよし、街のど真ん中に日本のスーパーやデパートがあるという希有な場所なので、将来的に反日デモ時にも情報のすっぱ抜きがしやすいかと思われる。(参考記事:反日デモ的観点で「成都」を紹介)
内陸だけれど、大きい都市だけに、中国各地へ飛ぶ飛行機は多い部類で、比例してチケット代が安い。
4.昆明
中国各地の人々が別荘を買いに来るので、中国で一番持ち家の多い都市(逆に借家の中国一は深セン)。地場のリッチでない人々から別荘持ちのリッチまで、上から下まで様々な消費サンプルがいる希有な都市。
広州同様東南アジアと中国を繋ぐ空港であるため、チャイナ+1のスタイルで取材しやすく、ベトナム・ラオスは陸路国境越えも可能なので時間はかかるが安く取材が可能。
別荘が多いという点では海南島もそうだけれど、海口にしろ三亜にしろ国際便が少ないのがマイナス。
5.鄭州
「北京も上海も安く移動して取材したい!」と視野に入れているなら比較的沿岸に近い交通の要衝鄭州がよさげ。出稼ぎ労働者を多数輩出する河南省の省都で、全体的に見ればやや所得は下。今後の中国市場を占うなり、B級ニュースを捜すならアリではないかと。簡単に日本に戻れないのが難ではあるが。
1>2≫3≧4≫5。筆者がリタイアするような事があれば、どれにするかといえば、中国には住まずにタイがいいのだが(笑)。タイについてはまた次回の記事にて。
2011年01月12日 15時47分 [ 著作権 ]
中国の海賊版ショップはオンライン化の今も死なず
![]()
中国でブロードバンドが普及してきた今、海賊版販売店は苦境にさらされているかといえばそうでもない。
そもそもが若者しかインターネットを利用せず、中高年はインターネットを利用したがらないから、街の海賊版ショップはニーズがあり、住宅地に点々とある。
インターネットが普及した、パソコンが普及した、となると一番影響が大きいのが電脳街で、事実客は少なくなってきている。PCやインターネットが利用できる上に、オンラインで正規版のテレビ番組が無料で配信され、「5元の海賊版を買うのは購入厨」とまで冗談で言われる中、それでも海賊版販売店は生き残っている。
海賊版販売店で最近よくみるようになったコンテンツは、書店や空港で販売されている啓蒙系ビジネス系の講義DVDの海賊版。中国コンテンツの正規版の多くが無料になっても、なお有料コンテンツを捜し、それを無料に近い値段で販売しようとするこだわりというか意地の強さというのは計り知れない。
![]()
2011年01月10日 10時57分 [ 中国的製品 ]
せっかく中国産優良アニメが出てもパクリアニメが登場
一昨年ブレイクした中国産アニメ「喜羊羊与灰太狼」は間違いなく中国アニメ産業のマイルストーンを刻んだアニメだろう。喜羊羊与灰太狼を検索すれば筆者が解説した記事も出てくるが、羊の仲間たちと羊を狙う狼のドタバタを描く子供向けアニメだ。日本でも中国ウォッチャーなら喜羊羊与灰太狼は誰もが知っているところで、「喜羊羊」でニュース検索すると、それに関する話題が多数出てくる。
中国の近年の国産アニメ産業推進(その背景には思想的に他国に洗脳されたくない、というのもある)の中で、多数のアニメが作られているが、残念ながら「喜羊羊与灰太狼」のモノ作り魂を継いだオリジナリティあふれる作品というのはまだなく、出すたびに「これってパクリじゃね?」と疑われる作品ばかりが矢継ぎ早にリリースされている。「秒速5センチメートル」をはじめとした日本のアニメのパクリは話題となるが、実は喜羊羊与灰太狼のパクリ作品(具体的には「兎宝宝和三件神奇宝貝」という作品。ウサギと狼のドタバタ話。絵柄もそっくり)も堂々と放送されていて、共食い状態になっている。
何もアニメ業界に限った話ではなく、日本人にも身近なところではサンシャイン牧場をはじめとした中国産の農園ゲームが突然似たようなタイミングで複数日本上陸したことからも実感するところ。元祖農園ゲームを5minutes(5分鐘)が、SNS向けゲームでマイルストーン的ゲーム「開心農場」をリリースしたが、パクリゲームが矢継ぎ早に登場し本家を食っている。
中国国産のコンテンツが中国で爆発的に売れたとしても、こうしたケースから考えるに、中国国産コンテンツの独創性の発展があることはないだろう。
2011年01月07日 00時10分 [ 筆者自身のこと ]
[メディア論]東京都港区をして日本を知ること
メディアへの警鐘という意味で前回のエントリーの続き的な内容を。
中国市場は非常に大きく、地方都市をも市場として当たり前に見るようになり、また農村市場をも視野に入れるようになった今日この頃。
上海にいる日本人は出張・駐在・留学・旅行含め瞬間風速的には10万人近くいるのを筆頭に北京にも数万人いる。上海、北京はビジネス事務所を置くのに最適だからだし、また居心地もいい。日本人が多くいることから結果として上海や北京をリサーチして、それを「中国のなんとか事情」「中国人の消費を知る」と名付ける記事は多い。中国における地域ごとの消費の傾向を知らないといけなくなった今でも「上海市民の消費傾向」とは言いたがらない傾向にある。
読者的視点なら、上海の傾向なら「上海市民のXX」のほうが正確な情報でありがたいはずであり、上海の傾向を「中国人のXX」と書いて勘違いするよりいいと思う。「中国を語れないとビジネスにならない」という不安から来るメンツの表現かと思うのだが、そんな無理をせずに素直になるのが一番ではないかと。
西洋メディアが西洋人の多数居住する東京都港区で情報を得て、港区民の消費傾向を日本の消費傾向とすることは、いい加減な情報もいいところ。「港区消費事情」という記事で書けばいい。それを「日本消費事情」とするから誤解が起きる。
読者も誤解をしないように、メディアも大げさなタイトルをつけないように、筆者自身もミスリードさせる文章を書かぬようにそれぞれ気をつけよう。
2011年01月04日 23時47分 [ 筆者自身のこと ]
外国に対する先入観はメディアが作り上げる
中国に対する先入観のひとつに「大衆は報道を信じていない」「大衆は報道の自由を望んでいる」ことが挙げられる。
確かに中央政府に対しての批判を筆頭とした「報道の自由」はないが、しかしそれ以外に対しての報道は自由だ。例えば筆者のカバーする中国のITについては基本的に報道しても政治的な要素はない問題は無い(と思っている)。
この辺は
山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第64回
中国が主張する「言論の自由」とは
百科事典サービス「百度百科」の書き込みのルール(中文)
百科事典サービス「互動百科」の書き込みのルール(中文)
にそれぞれ書いてある。
「外国の情報をシャットアウト」することや「都合の悪い国内情報を削除」するという「基本的人権に反したメディアコントロール」は、基本的に中央政府に関することなわけだ。逆に言えばそれ以外は自由だといえる。各地方政府の汚職や事件に関する報道はしばしばあり、それは各チャイナウォッチャーの翻訳記事を度々見ることができるからわかるかと思う。
中国は広い。百万都市がごろごろある。各省の人々は中国全体よりも地元の省や市の身近なニュースに興味がある。普通の人々が喜んでみる報道は地元の報道であり、そこには中央政府に対して以上の報道の自由がある。普段から人々は中国政府に興味はないため、報道に制限があるとは感じていないし、中国の真の姿を知らず哀れとは思っていない。
最初に書いた「大衆は報道を信じていない」にも「大衆は報道の自由を望んでいる」にも、前述の前提から「いや、地方ニュースをそれなりに信じてるし、中央の報道は見ないし興味ないし」ということで実際には、それは「日本や先進国民主主義国の人々が『中国人は報道の自由が無くて苦しいよね、ね?』」と言っているに過ぎない。
いつの間にやら「中国人は報道の自由が無くて苦しんでいる」というのが常識となった。そしてその先入観が前提となり、その上に新たな考察がされている。
さらにそこに追い打ちをかけるように「中国現体制憎し、民主化賛成」という中国のジャーナリストや活動家がやってくると、先進国の人々はそれを鵜呑みにしてしまう。もともとその中国の人は「中国現体制憎し、民主化賛成」という目的ありきで行動を起こすために、少々大げさな表現になる。その大げさな表現を「中国はヒール」という前提で素直に信じる人は多い。
たとえば影響力のある人物が「多くのtwitterを使う中国人が民主化を期待している」といったところで、その「多く」はいかほどかを調べてみたのが
山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第86回
中国Twitterユーザーが気になる母国の話題
の記事で、13億人のうちの、多くて数万人程度しかいないことがわかるし、「ネット上の反日に燃える若者が多い」と言ったところで、数値的解析をすれば
山谷剛史の「中国IT小話」 ― 第80回
尖閣問題で熱い中国ネットメディアや愛国者をスルーする人々
むしろかなり少数派であることが推測できる。
パリ症候群という言葉がある。日本人が過剰にパリに期待し先入観を膨らませた結果といえる。同じように中国人に対しても「報道の自由が無くて可哀想」「若者は反日思想が詰め込まれた」とイメージ通りであることだけに素直に信じるだろう。ある英字新聞で日本が変態だとして、その証拠に嘘の例を山ほど書かれ、外国人が信じたらどうだろう?
一方で日本人が日本の右寄り、ないし左寄りの記事を読んだときに、その新聞名を見て「あぁこの新聞なら言いかねないな、ちょっと大げさかもな」と内容を修正しないだろうか。日本国内のメディアやジャーナリストの過剰な発言に対しては補正できる人は多いと思う。
結局国内と国外の記事で誤解が起きるか起きないか、煽動的記事に乗るか乗らないかは、メディアやジャーナリストの素性がわかっているか否かにかかっている。国外のジャーナリストやメディアの素性がわかる人なんて、専門家くらいしかいない。外国のイメージは、メディアやジャーナリストによって構築が容易なわけだ。
もちろん中国に関するジャーナリストを全員リストアップして、その各人の中国に対する思想を皆が覚えれば誤解はおきないが、そんな悠長なことはできないし、世界は100カ国以上ある。日本人に最も身近な外国人のデーブスペクター氏が持つアメリカへのスタンスすらわからないのに、世界中のジャーナリストの傾向を知るなんてどだい無理な話だ。
かといってメディア編集部の腕で、ジャーナリストを偏見を助長するようなアジテーターにさせなようにコントロールできるかといえば難しい。まず外国のことは現地の知識がないから検証が難しい。また金がないと生きていけない以上は、実際PVいくつの世界で、先入観を煽る記事タイトルになりがちだし、内容も先入観を煽る内容の方が喜んで貰える。アジテーター的ジャーナリストならすぐに多くの人に名前を覚えて貰えるし、高い評価が貰える。
読者に出来ることと言えば、外国の記事だろうと国内記事同様に頭の片隅で「これは煽り記事ではないか」ということを置いておき、かつ「どこの国はどうだ」ではなく「どこの国でこういうこともある。こういう人もいる」という認識の仕方をする。またジャーナリストやメディアの傾向を知る読者は2ちゃんねるでもYahoo!掲示板でもブログでも、「このジャーナリスト・メディアはまた煽ってるよ」と評価下げるくらいの行動を起こすと、痛い目を見たくないアジテーター的メディアやジャーナリストも少しは防衛を意識しはじめるのではないか。
中国の記事は直接ビジネスに絡みやすい。ビジネスに絡みやすい中国の記事が偏見を助長するだけの記事なら、役に立たないばかりかそうじた記事のせいで、読者の企業担当者が誤解をしやすい。そういう影響を考えて、メディアもジャーナリストも単なるPV目当てでない正しい記事を配信して欲しいし、自分自身も気をつけて情報を配信していきたいと思う。
1月5日 追記
メディアの海外ネタには意図的な偏見が多分に含まれている可能性があり、また読み手もその国その地域の基礎知識がないから偏見知識を吸収しやすい。「海外情報はネットで十分」「ネットがあるから海外に行く必要なんてない」とネットばかりを信用すると、やがて補正ができないほど偏見の塊になる可能性がある。たとえば中国ビジネスをする人がネットばかりで情報を入手し、ビジネスで役に立つか立たないかを考えてみよう。
この文章はtwitter上のやりとり
ツイ民を中国の典型みたいに報じるのってどうよ?
から再度考察して書いた。こちらのリンクもぜひ読んで欲しい。論議してくれた人に心から感謝。





